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第20回 「≪美容家電≫市場が爆発的に拡大中!」
~男が知らない”新・成長産業”が日本経済を救う?~

次の売れ筋をつかむ術

女性には「美欲」がある。

「鏡よ、鏡よ、鏡さん、この世で一番美しいのは誰?」

クレオパトラ、楊貴妃、小野小町の昔から、古今東西を問わず、美は女性の究極のテーマだ。

美恵、美樹、久美子・・・と、娘の名前に「美」の字を使う親も多い。

ユダヤの商法でも「女と口を狙え」と言われる通りだ。

しかし、日本は、高齢化社会を超えた高齢社会、そして、人口減少社会に突入した。
労働者の年収も可処分所得も減り続けている。

そういった状況下で、化粧品、エステ、美容室など従来の女性消費市場も飽和状態となって久しい。

また、炊飯器、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコンといった、いわゆる「白物家電」も、
パソコン、テレビ、ビデオ、オーディオなどの「デジタル家電」も、もはや成長は頭打ちだ。

ところが、近年、≪美容家電≫と総称される、天の岩戸にお隠れになっていた景気浮揚の女神が現れ、
大きな注目を集めている。

はたして、この男が知らない"新・成長産業"は、日本経済を救う救世主となるのだろうか?

◆2013年に≪美容家電≫の市場規模は1500億円に!

2010年に約1200億円だった≪美容家電≫の市場規模は、2013年には25%増の約1500億円に
拡大する見通しだ。
(野村総合研究所による推計)

≪美容家電≫とは、一体、どんなものか?

まだ、インターネット上の知恵袋である「Wikipedia」にも項目自体が存在しない、まったく新しい概念だ。

しかし、倍々ゲームで爆発的に拡大を続ける市場規模からしても、≪美容家電≫は既に
「ニッチ市場」などではない。

野村総研のレポートでは、以下の図にあるように、顔・髪・全身の各部位に効く、
保湿・引き締め・汚れ除去・毛髪スタイリングの効能・効果のある家電だと考察している。

tu20-01.jpg

私は、これらに加えて、今までになかった、口から摂取することで、
からだの内側から美しくなるための新家電も≪美容家電≫の1ジャンルだと捉えている。

たとえば、
野菜と果物を材料とする「グリーンスムージー」を作る最新式ジューサー
https://secure.jmca.jp/saved/sample/pdf/tu20-11.pdf
tu20-11.jpg

昨今、新たな美容への効能が女性に見直されて大ブームとなっている
炭酸の水を家庭で手軽に作れる「炭酸水メーカー」
https://secure.jmca.jp/saved/sample/pdf/tu20-12.pdf
tu20-12.jpg

などである。

また、市場は女性から男性、また若者から高齢者まで広がりを見せつつある。

≪美容家電≫とは、老若男女の美容に資する、家庭用または携帯用の電気器具だと定義付けられる。

さらには、美容と健康は不可分であり、≪美容・健康家電≫という捉え方も広まりつつある。


◆なぜ≪美容家電≫は登場したのか?

≪美容家電≫が登場した流れとして、
これまでは、エステサロンや美容室でしかサービスが受けられなかった高価で大きな器具が、
市場の川上から川下に降りて来たという点が、大きなポイントだと言える。

その背景として、以下の3つが挙げられる。
(1)エステサロンや美容室でしか受けられなかったサービスが浸透して、家庭でもできる器具に対する
  消費者ニーズが高まっていた
(2)技術革新とネット社会の進展、生産のグローバル化によって、器具の小型化・軽量化、消費者への
  安全性の担保、価格の低廉化が可能になった
(3)エステサロンや美容室向けのBtoB商品の製造メーカーや流通が市場の飽和と低迷から、新市場の
  開拓を目指してBtoC市場に本格参入した

(3)についてのロールモデルして挙げられるのが、
≪美容家電≫のリーディングカンパニーの1つであるヤーマンだ。
http://www.ya-man.com/company/

東京都江東区に本社を置く東証1部企業で、
30年以上にわたって、プロフェッショナル用の美顔器・健康機器を供給して来た美容の専門メーカーだ。

1978年に設立され、2009年、ジャスダックに上場。2011年、東証2部に上場、2012年1月27日に
東証1部に指定替えしている。
最近ではテレビCMを中心とした通信販売事業にも進出している。

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大手の白物家電メーカーや化粧品メーカーも続々と、≪美容家電≫市場に参入している。

しかし、企業力で勝る大手メーカーも負けてはいない。

≪美容家電≫市場は、これから本格的な戦国時代を迎えつつある。


◆持ち運びレディースギア「モバ美」(モバビュ―)とは?

「モバ美」(モバビュ―)という言葉をご存知だろうか?

モバイル美、モバイル・ビューティーの略で、いつでもどこでも美しくなるためのケアができる
持ち運び可能な≪美容家電≫のことだ。

今までは、働く女性にとって、お肌や髪のケア、やせるためのボディケアは、出社前か帰宅後か
休日にやるしかなかった。

しかし、時代は変わった。
男が「草食系」を超えて、今やまったく動かない「植物系」男子に進化(退化?)する一方、
女性の中には、「肉食系」から、トラやライオン顔負けの「捕食系」女子と言われるほど元気な人も少なくない。

一年中24時間アクティブで、「オタク族」ならぬ「オソト族」の彼女たちには、
いつでもどこでも、キバをみがく、いや失礼!、美しさをみがく必要があるのだ。

最近は、女性のバックの中身を聞くと、男性のバッグ以上に、小さなマシンがゴロゴロ入っていて驚かされる。

機械や器具を意味するギアと言えば、今までは男のモノだったが、
今や家電量販店でも、「レディースギア」が一大商品群を形成している。

ビックカメラの美容家電コーナー「ビックビューティー」でも
「モバ美」(モバビュ―)商品が所狭しと並んでいる。

tu20-03.jpg


「モバ美」(モバビュ―)族ご用達の代表的「レディースギア」は、以下のようなモノだ。

スチーマー:お肌の乾燥が気になった時やお化粧直しの時など、サッと取り出してうるおい補給する。
フェイスローラー:半導体内蔵のゲルマニウムのローラーをコロコロ転がして肌と表情筋をリフトアップする。
アイラッシュカーラー:まつ毛を熱でクセづけして根元からしっかりカールさせアイメイクを美しく仕上げる。
フェイスシェーバー:デリケートなフェイスゾーンの毛をケアする。
電動歯ブラシ:ランチやディナーの後にエチケットと、コーヒーやワインによる歯の着色汚れをケアする。

その他、ヘアアイロン、ミニドライヤー、イオン発生器などなどである。

どれも小さく見た目はオシャレで化粧品か携帯電話と見間違うが、実はハイテクのエレキグッズだ。
 

◆寝ている間に美肌・美髪になれる「寝ながらエステ」

美を探究する女心は、寝ている時間もムダにはしない。

パナソニック「ナイトスチーマー」は、
睡眠時間を有効に使ってケアできる「寝ながらエステ」という新しい概念で、
≪美容家電≫市場に新風を巻き起こしている。

いつも通り寝ているだけで、うるおい美肌、髪のツヤ感もアップできるという商品だ。

マシンに水を入れ、顔から50センチ離して枕元周辺に置き、スイッチを入れれば後はそのまま寝るだけ。

スチームとナノイーイオンが部屋全体に広がるので、特に顔を商品に向けて寝る必要はない。

tu20-04.jpg

最初の20分間は、「潤風スチーム」がゆっくり優しくお肌の角質に潤いを補給してくれる。

その後は、自動的に「ナノイーイオン」に切り替わり、最大8時間まで作動し続ける。

この「ナノイー」とは電気を帯びた細かいサイズの水のことで、肌の皮脂となじんで、
水分の蒸発を防いでくれる「潤いベール」を作る。

このベールが、寝る前に使った化粧水・美容液の有効成分を肌の内側に留め、乾燥肌、
たるみ・シワ・毛穴の開きなどの肌トラブルを防ぐ

また、痛んでアルカリ性に傾いた髪も弱酸性に近づけてくれ、髪一本一本の水分・栄養分を逃さない。

朝、目覚めとともに、眠れるウチの美女が復活する。


◆≪美容家電≫の将来性と発展余地

≪美容家電≫は、女性にとって美をもたらす新種の魔法に違いないが、
はたして、日本経済復活の魔法の杖となり得るのか?

私は次の3つの視点で、その将来性と発展余地に注目している。

(1)「≪美容家電≫戦国時代」が市場を活性化

まずは、市場が飽和し、停滞していた、国内の化粧品業界、家電業界、エステ業界、美容室業界が、
≪美容家電≫市場の爆発的な成長で、一気に色めき立っていることだ。

競争なくして成長なし。

当然、脱落者も出て来るに違いないが、さまざまな業界の各社が入り乱れて競い合うことで、
新たな商品やサービスが生まれ、市場が活性化し、経済が成長する。

前述の「モバ美」分野でも続々と新製品が生まれているし、
「寝ながらエステ」でも水だけでなく、より肌に良いとされるヒアルロン酸の成分を飛ばす新技術のマシンも
登場している。

(2)可能性無限大の「男性市場」の≪美容家電≫

身だしなみに気を使う男性も増えているし、経済のソフト化によって接客業やサービス業の仕事が増えて、
男性も身だしなみに気を使わないと出世できない世の中になって来ている。

ましてや、結婚相手を探す"婚活"中の男性であれば、なおさらだ。

現状でも、≪美容家電≫市場の約2~3割が、既に男性顧客となっている。

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8月20日~24日、パナソニックは、東海道新幹線の乗客を対象に、
9月1日発売の新たな≪美容家電≫のレンタル体験会を行った。

「目もとエステ」(想定価格1万8000円)という、約40度の蒸気とマッサージで仕事で疲れた眼や
周囲の皮膚を癒やす商品だ。

目の疲れやクマに悩む人は男女問わず多い。

品川駅と新大阪駅に100台準備し、乗車中や1泊2日レンタルで効果を実感してもらおうという試みだ。

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「頭皮エステ」も、販売後、フタを開けたら、男性のユーザーが3割もいたため、男性向け仕様の
商品も導入された。

今後、≪美容家電≫のあらゆる商品分野で、男性が女性を追いかけて来るに違いない。

(3)新たなお家芸≪美容家電≫がグローバル市場を切り拓く
現在、≪美容家電≫のメーカーが数多く競い合い、市場が爆発的に広がっているのは、世界中でも日本だけだ。

日本女性の美に対する飽くなき探究心は世界トップであるし、
小さな創意工夫の組み合わせによるイノベーションは、
「からくり人形」の昔から、日本の真骨頂である。

日本を訪れる、アメリカ、ヨーロッパ、台湾、韓国など海外からのインバウンド観光客にも、
日本の高度な≪美容家電≫は人気を博しており、家電量販店などでも外国人スタッフを置いているところもある。

美は世界中の女性の永遠の望みであり悩みだ。

≪美容家電≫が、日本の新たなお家芸として、グローバル市場を切り拓く時代が到来しつつある。
 

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