海外旅行の申込み方法について、JTB総合研究所から興味ある調査結果が公表された。それは、性年齢別に申込み方法について調査したところ、ネット経由が最も多かったのは「60~79歳の女性」だったということである。60~79歳という括りの幅は少し広すぎるように思うが、間違いなく私が提唱するアクティブ・リッチ・シニア(ARS)がこの市場を牽引しており、SNSを含めて、海外旅行に関する話題や情報に接する機会の多い女性が、家族やパートナーを先導していることがうかがえる。
この調査では、年齢が上がるほど商品の検討から申込みまでをすべてネットで行う “ネット完結”の傾向も顕著で、旅行経験の豊富なシニアはネット、旅行経験の浅い若い層は有店舗に出向き店頭相談するという調査結果が明らかとなっている。
また、 「スマホアプリの利用動向」を年代別に集計・分析したフラー㈱の調査も面白い。それによると、シニアが利用するカテゴリー別アプリの第1位は、スマホに最初から搭載されている電車や時計といった基本的なプリインストールアプリ (デフォルトアプリ)となっているが、特徴的なのは、政治・社会・経済・スポーツ等、国内外の最新情報が読める「ニュース&雑誌」カテゴリーのアプリの利用である。このカテゴリーにおいて、20代の若者は「ツイッター」や「Yahoo!」 「スマートニュース」の3アプリに留まっているのに対し、シニアはこれらに加えて「ニュースパス」 「NHKニュース」 「グノシー」など7アプリを利用しており、あらゆるジャンルの情報を広くフォローする意識が高いことがわかる。
このように、シニア層のデジタル活用は我々の想像を超えて高まっており、「シニアはネットが苦手」という固定観念に囚われていると消費市場を見誤ることになる。