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戦略・戦術

第283号「D to C」時代の本格到来

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 D to Cとは「Direct-to-Consumer(ダイレクト・ツー・コンシュマー)」の略で、自社で企画・製造した商品を自社のECサイトでダイレクトに顧客へ販売するビジネスモデルのことだ。アマゾンや楽天市場などのショッピングモールや仲介業者を一切挟まずに、企画・製造・販売を自社だけで行うため低コストで事業運営でき、また会社のビジョンやブランドコンセプトを直接顧客に伝えられることから、近年、米国ではスタートアップ企業向けのビジネスモデルとして定着している。

 製造から販売まで一貫して自社で行うという点においては、SPA(Speciality store retailerof Private label Apparel)と似ているが、二つの最も大きな違いは、D to Cはリアル店舗での販売を行わず、自社運営のECサイトで顧客に販売することをベースにしている点である。このD to Cの主なメリットとして、
 
  ①ビジョンやミッション、ブランドコンセプトを顧客にダイレクトに正確に伝えることができる
  ②顧客と深い関係性を構築できる
  ③顧客データベースの収集が可能
 
 などが上げられ、今までのメーカー通販とは一線を画している。
 
 その成功企業として名高いのが、2016 年創業の米国のシューズブランド「Allbirds(オールバーズ)」だ。同社のシューズは、世界の著名人たちから「世界で最も快適な靴」と評され、シリコンバレーで人気を得たことから一気に飛躍し、今年1月には、東京・原宿に日本1号店をオープンさせている。一貫したコンセプトに基づいたサービス設計や顧客への徹底した情報開示、そしてサステナブルの取り組みも積極的に行っている新進企業である。 
 
 近年、このようなD to C成功企業は日本でも増加しており、顧客中心主義の徹底したサービスと、顧客の声を素早く商品開発に活かすスピードは大いに勉強になるところだ。D to Cは、本当の価値を提供できるメーカーと、その価値に共感する消費者が共に作り上げていく、いまの時代に合ったビジネスモデルと言えよう。
 

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