この数字は、糖質や塩分、添加物などを控え、ライトな健康感を訴求した「ウエルネス食品」の2019年の国内市場規模推計である(富士経済発表)。この調査では、ウエルネス食品市場を15カテゴリーに分けて分析するとともに、○○オフや○○ゼロ、減塩、無添加などといった22のウエルネス要素別の市場を分析している。
注目市場別に見てみると、「糖類オフ・ゼロ」は飲料が市場の6割、アルコール飲料が3割を占め、2018年は「ザ・タンサン・レモン」や「キリン・ザ・ストロング」といった大型商品の発売もあって市場が拡大。2019年も、好調な低アルコール飲料の伸びなどにより、堅調に推移すると予測されている。
「糖質オフ・ゼロ」は、市場の9割以上をアルコール飲料が占めており、市場は生活習慣病予防やダイエットニーズに加え、近年のロカボブームにより順調に拡大。とくに市場規模の大きいアルコール飲料の伸びが拡大に寄与しているほか、カロリーオフ・ゼロやプリン体オフ・ゼロ、乳酸菌類などの他要素と組み合わせて、さらに健康訴求を強めた商品展開の増加が追い風となっている。
「カロリーオフ・ゼロ」は、飲料が7割強、アルコール飲料が1割超を占める。近年は健康訴求の代表格だった“カロリー”に対する消費者の関心がやや低下し、ブームは“糖質”へ移行していることから、市場規模は縮小すると見られている。
そして「減塩・無塩」は、トマトジュースなどの食塩無添加の野菜系飲料が中心で、そのほか、しょうゆなどの調味料や即席みそ汁といったスープ類が定着化している。高齢化が進む中で、今後も血圧対策などで減塩商品の需要は拡大傾向にある。これらの市場の他、生活習慣病を改善するとされるアマニ油やカカオ高含有のチョコレートなども、実績を伸ばしている。
この「ウエルネス食品」は、食品スーパー(約2万店)、ドラッグストア(約2万店)、コンビニ(約6万店)の3業態を中心に販売しており、消費者の“買い場”チャネルは拡大していることから、購入機会は一層増加していくはずである。
私の顧問先の乾麺メーカーでも、オリジナルの無塩麺の売れ行きが国内外で好調だ。このような「ウエルネス食品」は、今後も食品メーカーの活発な商品開発により、様々なカテゴリーで競い合いながら進化していくだろう。