J・・・Jacket
ジャケット有りの夏、ジャケット無しの夏
日本は本格的に亜熱帯、いや熱帯になってきているのではないでしょうか?「男性の正式な服をアロハにした方がいいのかもしれない・・・」そんなことを実感した、先日の東京出張。夏で、気温は高くなったとしても、湿度は日本ほど高くないNYに住んでいる身には、この厳しい蒸し暑さはこたえました。
さて、クールビズが始まって早10年。そして、気づけばいつの間にか、年の半分はクールビズスタイルになっている日本。自然環境にも考慮しつつ、この暑さをなんとか軽減して少しでも快適に、そして仕事の能率を上げる為には、身につけるものを少なく薄くすることが一番です。しかし、それは、本来ビジネスシーンに相応しいスタイル、そして社長として期待される本来の姿から外れやすくなっていること、それも年の半分という長い期間であるということを、常に念頭に置かなくては暑い間に気持ちがだれるだけでなく、ビジネス力も低下してしまいます。
重要な肝となっているのは、正式な場所には必ず必須とされる「ジャケット」の有無。どんなにカジュアルな服装でも、それを着用すれば背筋がすっと伸び、表情冴えも引き締まり、全体の印象をキリリとさせることのできるビジネス・ツール。それを無しにして活動する場面が多いということは、その威力を利用できず、社長として、ビジネスシーンで他者に与える印象がどれだけ割引きになっているか計りしれません。「暑いから仕方がないですよね」とは言いつつも、もしジャケットをきちんと着用した人とそうでない人がいれば、間違いなくジャケット着用の人にビジネスパーソンとして軍配が上がるのは間違いありません。とはいえ、この気候に準じた対応をすることも実生活を営む一人間として必要です。
そんな今の時期、ジャケット有り、ジャケット無し、両方のケースで考えられるビジネスシーンでの注意点を挙げてみましょう。
【ジャケット有り】
望ましいスタイルではありますが、着用することにより、汗ダラダラで暑苦しく見えるのはNG。そして、その汗が匂いを発しないよう、着用した後のお手入れも念入りに。また、移動中は脱いでいて、重要な場面の直前に着用する場合、保管時のたたみ方や持ち方に注意。しっとり汗を含んだジャケットは、皺になりやすい状態です。せっかく着たのに皺だらけでは、着ない方がマシとも言えます。きちんと畳んで面が綺麗に保てるようにしておきましょう。
【ジャケット無し】
ジャケットが無い分、シャツ選びがいつにもまして決め手になります。サイズはご自身の体にあったジャストサイズを選びましょう。ダボダボしているのは、視覚的清涼感に欠けます。素材も普通の無地の白だと、ジャケット無しの姿を補うだけのビジネスパワーが足りません。白を選ぶのであれば、織柄が入っており素材感の良い物、また薄いブルーなどの色やストライプ柄を取り入れ、視覚的さわやかさとジャケット無しの味気なさを補いましょう。そして、半袖ではなく長袖を着用し、暑い場合には袖口をきれいに折り返しましょう。
【ジャケット有り/無しの両方のケース】
両方に共通して言えるのは、シャツの襟元に関すること。ネクタイは締めない場合が多いわけですから、襟の形はセミワイド、もしくはワイドカラーのシャツを選び、襟元の空き具合が収まりよくなる様に心がけることも大切です。ボタンダウンも一つの手ではありますが、スポーティな傾向が強くなることを頭に入れておきましょう。そして、台襟部分にボタンが二つ配置されているドゥエボットーニ。日本では多く見かけますが、実はNYのビジネスパーソンはそれを着用しません。随分昔に流行ったことがあるとのことで、今は完全に存在自体がないのです。この襟のシャツに関する日本での記憶をたどれば、クールビズが導入され、ネクタイを外すことになって襟元が寂しい・・・ということから、一気に目にするようになりました。確かに、襟元の物足りなさは補ってはいます。しかし、首の長くない日本人には適さない襟の高さであることに要注意。決して涼しげには見えず、ちょっと苦しそうです。これを着れば、ネクタイ無しの襟元問題解決と思って着用されている方、勘違いしているかもしれません。ご自身の首元と顔元が涼やかに見えているか?それを基準に改めて確認してみましょう。
着用することでビジネスシーンの印象を大きく左右するジャケットの存在感。威力があるからこそ、きちんとした状態で着用しなければ毒にもなります。そして、着用しない場合は涼しくて良いですが、楽になった分失っているビジネスパワーを補うべく、細かい部分にも気を配ることをお忘れなく。
暑い日本の夏をご自身も体感的に涼しく、そして接する相手には視覚的さわやかさを感じさせるとともに、いつもと変わらぬ威厳と信頼感のある印象を保つこと、これぞ知的な社長の涼しい頭がなせる技ではないでしょうか!