menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第142話 税金の滞納を重ねると…

あなたの会社と資産を守る一手

社会保険料のみならず税金でも滞納を重ねると財産の調査が行われ差押えがされます。

 

押えられる財産としては不動産、売掛金、保証金、預金があげられますが、まず最初に不動産が差押えられます。すでに抵当権や根抵当権が設定されていて回収見込みがない不動産でも差押えされているのが現実です。
余力がなくてまったく回収できないであろうから国税徴収法第48条「超過差押及び無益な差押の禁止」(注1)に該当し、競売もできないだろうし、無駄な行為だと思う経営者も多いのですが、担保を付けている銀行側にしてみれば期限の利益喪失事由に該当し、融資をストップしてきます。

 

しかも、それは差押えが解除になるまで続きます。経営者にしてみれば影響は大きいのです。この状態から脱するために税務署なり自治体の徴税部署なり、年金事務所へ経営者が行くことになり交渉を始めます。


ところが税や社会保険の滞納に交渉などというものはありえず、ひたすら、回収の担当者による督促と、財産の確認がされます。

 

仮にここまできても差押えの解除のお願いに行かないとすれば、税務署・市役所・年金事務所の職員による調査訪問が行われ営業どころではなくなっていきます。
このあたりから、経営者は次に何がおこなわれるだろうかと考え始め、不安でいっぱいになり、本業に専念できなくなっていきます。

 

個人事業者の場合、意外と行われないのが預金の差押えで、2019年9月26日大阪高裁の判決(注2)とそれによる回収方針の徹底がされてるようです。


それでは、次にどのような資産が差押えの対象になるかというと、保証金や売掛金などですが、滞納者が法人であれば、決算申告書の内訳書を閲覧されて事業を続けるためにどうしても必要なものに差押えをしてきます。

 

最近は自治体や年金事務所の徴税担当者が滞納者と面談、話し合いという手続をふまずに、差押えしてくるケースも増えているように思います。そのほうが効率的に回収でき、徴収担当者の成績が上がるのでしかたないことですが、取引銀行の預金の動きや決算申告書の内訳書を確認し、提出された書類の内容も考慮したうえで売掛金をいっせいに差押えしてくるということも多く行われています。あたりまえですが、それが行われると会社はいっきに倒産に向かうのです。

 

税金や社会保険の滞納にはそのもとになる原因があります。
滞納会社の決算書を見ると、ふだんから納税額や社会保険料負担を考えながら、事業のやりかたを見直していけば回避できただろうにと思うことが少なくありません。 

 

注1:
(超過差押及び無益な差押の禁止)
国税徴収法 第四十八条
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

注2:
2019年9月26日大阪高裁の判決
給与が預金口座に振り

第141話 会社で社会保険料の納付が遅れると…前のページ

第143話 税金・社会保険料の滞納をすると…次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長と会社の資産を守る法CD

    音声・映像

    社長と会社の資産を守る法CD

関連記事

  1. 第13話 債務者になったら「もしも…」の時を考え、資産の持ち方を考えた方が良い

  2. 第11話 失敗から学ぶことの重要性

  3. 第49話 保証協会団信制度

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    第82回 『代替案』
  2. キーワード

    第95回 メタバース
  3. 経済・株式・資産

    第53話 中国消費者の行動は愛国主義と無関係だ
  4. 仕事術

    第17回「プロジェクションマッピング」
  5. 仕事術

    第139回 新トレンド「チューナー”レス”」テレビ
keyboard_arrow_up