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マネジメント

第2回 経営理念から最大の価値を生み出すマクドナルド

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

経営理念は、会社で働く人全員が向かうべき方向を指し示すものであり、同時に会社は、経営理念実現のために存在しています。

ただ多くの場合、経営理念は実践に使用されません。なぜなら、会社が経営理念を現場仕様に仕組み化する、その“方法”を知らないからです。

日本にあるハンバーガーで有名なマクドナルドという会社は、この理念を現場仕様にすることで、仕事を始めた段階のパートアルバイトの“笑顔=スマイル”が、売り上げにつながる仕組みを構築しています。

なぜ外食企業の中でもマクドナルドだけが、このように経営理念を仕組み化できたのでしょうか?

 

ステップ2~ここしかない

マクドナルドは、顧客にQ(品質)+S(サービス)+C(清潔)を通して「価値=バリュー」を提供し、経営理念である「おいしい食事と共に楽しい時間を提供する」ことに成功しています。

マクドナルドが提唱するQ(品質)+S(サービス)+C(清潔)とは、次のようなものです。

Q (Quality)=クオリティー(品質)とは、2500項目のマニュアル(作業手順)で管理された 世界中どこで食べても変わらない味で、それは世界共通の品質のことです。

S (Service)=サービスとは、真心がこもったスピーディーなサービスを指し、顧客に心地よい空間を提供することで、「マクドナルドに行けば何か楽しいことがある」と感じられる店づくりのことです。

C (Cleanliness)=クレンリネス(清潔)とは、 創業者レイ・クロックが「行くところを全てきれいに」と指導したことから、店舗や厨房の設計にまで及ぶすべての清潔さを徹底追及するマニュアルで実践される清潔さのことです。

同社は、どの企業も導入するQSC(Q(品質)+S(サービス)+C(清潔))を、~ここしかない~を切り口に経営理念を下記の3つで仕組み化することで、上述の3つQSCを最高の形に結びつけ、様々なV (価値=バリュー)を生み出すことで、最大の価値を顧客に提供し、他社との差別化に成功しました。

仕組みその1・経営理念をモノでイメージ

マクドナルドは、自社独自メニューのビッグマック(2枚の牛肉が入ったボリューム満点のハンバーガー)を、お客さんに大きな口をあけてほおばってもらうことで、~ここしかない~おいしさを実感してもらい、同社の経営理念が唱える「おいしい食事と共に楽しい時間を提供する」の“おいしい食事”が何かを具体的にイメージしてもらった。

仕組みその2・経営理念をコトで演出

マクドナルドは、経営理念「おいしい食事と共に楽しい時間を提供する」の“楽しい時間”を具体化するためには、・家族の笑顔がこぼれるくつろぎの場所・いつ行っても楽しい場所・楽しさを体感できる場所が必要だと定義し、家族で座れる4人がけボックステーブルや、デザイン性のある目立つ色の壁や、ゲームやインターネットが使用可能な店舗を設え、コト(食べる空間)を演出した。

仕組みその3・経営理念を企業風土で独自化

マクドナルドは、経営理念にある“楽しい時間”に更なら焦点を当て、“楽しい時間”には“笑顔”が不可欠であるとの観点から、店舗メニューの下段(日本出店時当初はほぼ全店採用)に「スマイル(笑顔)0円」というサービスの概念を明記することで、スマイル(笑顔)を同社独自の企業文化にし、それを企業風土になるまで育むことで、どこにも真似されない現場の意識をつくり上げました。

顧客に、<仕組みその1>モノ(ビッグマック)という商品を通じて、~ここしかない~おいしさをイメージしてもらい、<仕組みその2>コト(食べる空間)という空間を通じて、~ここしかない~楽しい時間を過ごしてもらっても、この2つだけでは、競合他社が新商品を開発し、空間を演出することでマクドナルドが競合他社に追随されることは必至です。

しかし、独自商品のビッグマックがイメージする“おいしい食事”と“楽しい時間”を過ごせる空間が、<仕組みその3>企業風土を軸にした~ここしかない~笑顔(=スマイル)で提供されれば、例え競合他社が全てをそっくりに真似ても勝ち続けることは可能です。

その理由は、企業風土となった笑顔(=スマイル)は働く人そのものであり、他社は決して真似などできないからなのです。

清水ひろゆき

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