昨年12月中旬に自民党から税制改正大綱が発表されました。
今回の改正は、私たち中小企業にとっては、とても良い改正でした。
というのも、新しく即時償却の制度ができるからです。
今回の改正は、全業種、そして、建物も対象になる、ということで、私からすると、とても大きな改正になります。
今回の新しい制度ですが、簡単にいうと、次のようになります。
①すべての業種で使えます
これまでの即時償却というのは、実は業種が限定されていました。
例えば、パチンコやゲームセンターのような遊技業や、医療法人などは、対象外だったのです。
今回は、すべての業種が対象となります。
②5億円以上の投資が対象です
※ただし、貸付用の資産は対象になりません
今回の税制で、この点だけが、「ちょっと残念だな」と感じています。
5億円以上の投資というと、中小企業にとっては、大きな金額です。
規模が小さな会社は、投資はすれども、この金額まで到達することは少ないのです。
ただし、今回の制度は、建物や構築物も対象です。
それを考えると、大型店舗、工場、倉庫などは、躯体工事、設備、機械、什器含めて、5億円以上に達することが多く、嬉しい制度です。
なお、貸付用の資産は対象外です。
例えば、不動産賃貸業にとっての、賃貸不動産あるいは、製造業で、親会社が買って、子会社に貸す場合は、対象外となります。
③建物も、構築物も、対象になります
※ただし、車両や船舶は対象になりません
これまでの即時償却というのは、建物や構築物は、対象外となっていました。具体的に言うと、建物は、いわゆる躯体(くたい)工事です。
建物の骨組みとなる主要構造部を造る工事全般です。
基礎工事にはじまり、柱、梁、床、壁など、イメージとしては、建物にくっついていて、引き離すこと(分離)ができないものです。
私の感覚でいうと、建築工事を100とすると、こうした躯体工事は、70~80くらいです。残りは、20~30が設備工事です。
つまり、これまでは、10億円の工事のうち、2~3億円くらいしか、即時償却できなかったのです。今度からは、これがすべて経費に落とすことができます。
また、構築物というのは、外構工事(塀など)や駐車場です。建物の周りの工事、とお考え下さい。こちらも来年からは、即時償却の対象です。
④建物は、新築以外にも、改修工事(増改築、修繕)も含む
これは、書いてあるとおりで、新築に限られない、ということです。
修繕工事については、税務調査でよくもめるテーマです。
これまで“原状回復工事”は、修繕費ですが、それ以外の工事は、建物として資産に計上していました。
しかし、修繕費か資産計上か?は、大変悩ましく、顧問税理士との間でも衝突が起きやすいのです。
来年からは、こちらも経費にできる、ということです。
⑤前年に比べて利益が増えている場合、
1%の賃上げをしなければ、即時償却は使えません
「利益が増えている会社は、賃上げをしないと、即時償却できない」ということです。
昨今は、政府の方針もあり、賃上げ、賃上げ、とどこもかしこも言われています。補助金をもらうにも、3年間は毎年●%賃上げしてください、というしばりがついています。
即時償却についても、その傾向があり、賃上げをしないと即時償却できない、となっています。
ただし、求められる賃上率は1%です。1%なら、多くの会社が賃上げしている水準であり、ここは、とても大きな足かせにはならないと思っています。
⑥この新しい制度を使う場合は、これまでの即時償却(A型、B型など)は使えません
今回の制度(建物含めて5億円以上の投資を即時償却)使うと、これまで普及している即時償却が使えない、というわけです。
顧問先をみていて多いのは、数千万円の投資です。
機械を買った、什器備品を買った、システムに投資した・・・
これらは、すべてこれまでのA型、B型という即時償却を使って投資しています。
今回の制度では、簡単にいうと、大きな投資に即時償却を使えるかわりに、小さな投資には即時償却が使えなくなるという内容です。
私たちは、経営者の立場にたって、即時償却の活用を積極的に勧めていますが、税理士さんのなかには、この制度を知らない、否定的、という方もいらっしゃいます。
なぜ、即時償却を巡って、経営者と税理士の間に溝があるのでしょうか?
それは、税金に対する考え方が、根本的に違っているからです。
税理士さんは、納税こそが国民の使命である、と考えています。
だから、税制といっても、納税を抑えるような仕組みや制度には、否定的なのです。
税理士さんはこんなことを言います。
「長い目でみたら変わらないでしょう」
→いえ!経営にはマサカの坂があります。即時償却を使えば、納税が減り、おカネが手元に残ります。これが大事です。
「大赤字になると銀行がお金を貸してくれないですよ」
→いえ!銀行が見るのは営業利益です。即時償却は、特別損失に計上するのです。そうすれば、営業利益は黒字です。
それから、もう一つ、なぜ、税理士さんが即時償却に積極的でないか?ですが、それは、手間がかかるから、なのです。
そして、今回のような大きな改正では、税理士さんも、新しい法律、ルールを勉強しなければいけないから、なのです。
誰しも、手間がかかること、新しいものへのチャレンジは、したくありません。面倒なのです。特に、税理士業界は平均年齢が高く、60歳代が一番多いのです。そうなると、余計に、新しいもの、細かいものへの探求心は失われていきます。
これが、即時償却が普及しない一つの理由だと思っています。
今回のような大きな制度は、知っているか知らないか?で、億単位の資金の違いが生まれます。
ICOグループとして、積極的に情報発信をしていきますので、ぜひともご活用ください。























