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- 社長のための“儲かる通販”戦略視点
- 第236号 地方企業こそ、協業と公的支援の活用を
昨年末、島根県の松江市と安来市から、立て続けに通販セミナーの依頼があった。セミナーのタイトルは『どんな会社でもできる通販ビジネス必勝法』( 主催: テクノアークしまね)と、『直販による「売上倍増計画」実戦ノウハウ』( 主催: 産業サポートネットやすぎ) である。今まであまり縁のなかった地域でのセミナー開催であったが、ことのほか熱心な受講者が多く、まだまだ通販参入に意欲のある中小企業が多いことをあらためて感じた。ちなみに、両セミナーの窓口となったのは、中小企業を総合的に支援する、公的機関の(財)しまね産業振興財団である。
松江市のセミナーは、食品会社を中心にアナウンスしたためか、受講者は約50名と満員に近かった。セミナー終了後、5 社と個別面談を行ったが、どの会社もスマホ対策を含めたネット通販に関する問題を多く抱えていた。たとえば、ネットに関する最新の広告手法や販促策、売上アップ策など、重要な情報・知識の取得がままならず、事業拡大の上でのボトルネックになっているのだ。これは島根県に限らず、地方の中小企業が抱える共通の問題点である。
そして、何より実感したのは、勉強会に何度行っても、それは“座学にすぎない”ということだ。つまり座学から実務実戦へと一歩でも踏み出し、“行動”を起こさなければ、現状を変えることはできないのだ。その“初めの一歩”を踏み出した会社が、島根県のセミナー参加者から出てきた。安来市の「鍛冶工房・弘光」である。弘光は日本橋三越本店で開催された催事『日本の職人・巧の技』に県の支援を得て出展し、この企画を職人仲間と共同でパッケージ化した。そして我々実戦会と組み、国内外の催事出展にチャレンジしていく予定である。
中小企業は、新しいことにチャレンジする気概はあっても、単独での取り組みには限界がある。その問題を打破するためには、このような企業間の協業や、行政の踏み込んだ支援が不可欠だ。