最近の株式市場は、日経平均株価が2000年4月のITバブル以来15年ぶりの高値圏にあり、ニューヨークのダウ平均株価が一時、史上最高値の18,200ドル台をつけるなど、欧州や一部新興国の株式市場を含めて世界中が株高を謳歌している。リスクも山積する今後の動向を考える時に、過去の著名投資家の残した教訓を確認しておくことも大切だ。
テンプルトンは、1954年に42歳でグローバルファンドを設立し、その後60年代から当時は無名だった日本株投資を開始。70年代には運用資産の過半を日本株に集中投資した。87年には日本のバブル崩壊を予見して日本株を売却、88年段階で日本株は半値になると予想して的中させた。80歳でファンドを売却するまでの約40年間、国際分散投資でトップクラスの運用成績を挙げ、2008年に没している。
このテンプルトンの投資手法は、大恐慌時代後に『証券分析』を著してベストセラーになったベンジャミン・グレアムに通じる「割安株投資」である。当時の判断基準としては、①PER7倍以下、②配当利回り7%以上、③PBR0.8倍以下の銘柄を選別するよう助言しているが、勿論、現在の市場環境に適合させるには数値を置き換える必要がある。肝心なことは、銘柄選択以上に重要で現在も十分に通用するテンプルトンの教訓だ。
例えば、『買い』について紹介すると
① 常々、弱気相場に備えて精神的にも資金的にも準備しておくこと。
長期投資を本気でするなら弱気相場が稼ぎ時だ。
② 市場が最も悲観的になっている時こそ買いのチャンスである。
また、『売り』に関しては
① どんな人気業種、人気銘柄も長続きしない。一旦、株価が下落すると回復に数年かかる。
② 株価は本来の価値よりもはるかに大きく変動する。その本来価値を見極めねばならない。
さらに『相場観』については
① 強気相場は、絶望の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、熱狂のうちに消滅する。
② 最も高い代償を払うことになる4つの単語で出来た言葉は、
「This time is different.」である。
それぞれ解説が不要な程に株式投資や相場の要諦を言い当てている。昔から語り継がれてきた相場格言と共に、一度冷静になって考えておきたい教訓ではないだろうか。
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