事業承継は、経営者にとって非常に切実な問題ですが、
当面の事業計画や資金繰りなどに比べて緊急性に乏しく、つい先伸ばしにしているのが実状ではないでしょうか。
早めに事業承継に着手すれば、納得のいく後継者選びができ、その経営手腕を見守りながら支援することも可能です。
しかし、何も手を打てないうちに病に倒れたり、認知症などで正常な判断力を失ったりしては、家族や社員の混乱は必至です。
事業承継は、徐々に環境を整えながら行なうものなので、
次のポイントに留意して充分な時間的余裕を持って取り組みたいものです。
1.社長のライフプランと会社の長期ビジョンとを融合させる
どの時点で退職し、どのようなセカンドライフを送りたいのか。
退職後の会社経営への関わり方も含めて、社長のライフプランと会社の経営計画をすり合わせることが必要です。
頭の中だけで考えていると矛盾に気付かないこともあります。
2.事業の将来性、継続性を判断する
事業の将来性、業界の将来展望などを判断し、将来へ引き継ぐべき事業であれば、経営基盤の強化に努めます。
また、個人事業の場合には法人成りが挙げられます。
3.経営方針を確定し明示する
中長期経営計画に基づいた明確で説得力のある経営方針を明示します。
将来を見通すことによって、従業員やその家族の不安を取り除き、安心して働くことができる環境整備を行ないます。
4.経営資源を承継する
育てた人材や技術、信用力などを確実に承継し、さらに発展させる環境を整えます。
特に承継させるべき大事なことは、今社長がお持ちの経営理念や価値観など目に見えない無形財産です。
5.新経営体制を確保する
旧経営陣から新経営陣へ順調にバトンタッチできる体制を整え、取引先や金融機関などへの根回しも行ないます。
現社長のブレインが新社長のブレインに相応しいかも検討します。
事業承継は、適切な指導者やアドバイザーがいないと、漠然と考えていても先送りされがちです。
事業承継には充分な時間をかけることを覚悟し、スケジュールを工程表にして、いつまでに何をするか具体的な内容を
洗い出し、計画に沿って着実に実行することを社長自ら決意することが、円満な事業承継の第一歩になります。
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