【写真】CEATEC2017会場にて。2017年頃からVRを応用したサービスの展示が顕著に。VRヘッドセットのほか、体の動きを採り入れるデバイスも登場。
2022年のトレンドとして注目されているのが「メタバース」。ビジネスや働き方にも影響を与えるという向きが多く、耳にされる頻度も多くなっていることでしょう。
そもそもメタバースとは、SF作家のNeal Stephenson氏が作品の中で「仮想世界」の呼称として用いた言葉で、メタ(Meta/超)とユニバース(Universe/宇宙)の造語が起源とされています。現在の「メタバース」は、インターネット上に構築された仮想空間に、複数の人々が集まって共生する「第二の空間」のようなイメージで良いでしょう。実の所、メタバースに近いものとしては、約15年前に「セカンドライフ」というサービスが存在し、当時は大手企業も参加するなど注目を集めました。
その後の技術の発展で新しく加えられる要素は、CGで緻密に描かれた現実ならながらの立体空間に、自身のアバター(分身)が登場して、より現実に近づけることができるようになったことでしょう。特にVRヘッドセットの高性能化や高画質化により、感覚としても立体的でリアルに感じられるのも特徴と言えます。
因みに、近年のゲームはインターネットを介して、仮想空間に複数のユーザーが参加する作品が多く、メタバースの要素を備えています。システムも人々も、本格的なメタバース時代への準備が整いつつあると言えそうです。
メタバースは様々な可能性を秘めていますが、まずは既に確立しているビジネス、例えばインターネットショッピングへの応用は早そうです。仮想の街にある仮想のショッピングモールに出向き、仮想の店で店員さんと相談しながら購入するイメージ。高精細で自由な角度から観察できる3D映像が伴えば、品物の確認もし易く、購入に至る確率も高められるでしょう。実在する町や店をそのまま仮想空間に移築するような構想もあります。
新しい「メタバース」で注目すべき点は、エンターテイメントやサービスに限らず、日常業務への応用が期待されている点です。多くの人々が「テレワーク」を体験し、賛否が分かれる部分もありますが、自宅に居ながら、同僚の存在が感じられて、現実さながらの連携が取れれば、出社の頻度をより少なくし、同時に業務効率のアップを図れるかもしれません。
社外ミーティングも同様、面談が重要なケースは多々あると思いますが、VRヘッドセットの進化で、「会う」に近い感覚が得られるようになれば、メタバースで代替できる場面も増えることでしょう。非接触や移動時間の節約といったメリットに加え、リスクや経費の低減も魅力化もしれません。
VRヘッドセットが進化し、小型軽量化も飛躍的に進む今、働く環境や効率に対する考え方も大きく変わりそうです。
なお、VRやVRヘッドセットにご興味がある方は、本連載でも何度か採り上げていますので、是非ご参考に。
■38回 第38回 VRヘッドセットが本格発進!(2014年11月)
https://plus.jmca.jp/kou/kou39.html
■88回 「VR/ARに続くMRとは?」 (2019年1月)
https://plus.jmca.jp/kou/kou89.html
■91回 第91回「スマホで簡単VRゴーグル」 (2019年4月)
https://plus.jmca.jp/kou/kou92.html