桜咲く4月は入社式などのハレの行事も多く、
一年のうちで最もにぎやかな時期。
ただでさえ多忙なところに、
寒暖の差が激しい日が続いて、疲労を感じている方も多いかと存じます。
今回の一冊は、20年間無敗伝説をもつ"雀鬼"として
有名な桜井章一氏の
『体を整える』
です。
桜井氏は、これまで、『人を見ぬく技術』『負けない技術』
『努力しない生き方』など、生き方や心の在り方について
多くのベストセラー本を輩出してきました。
既に読まれている方も、多いかと思います。
本書は、初めて、カラダについて語る、
強さの真髄に迫る待望の一冊です。
その強さたるや、ビジネスマンはもちろん、
多くの武道家、格闘家にも一目置かれるほど。
それも、筋力トレーニングによる、
ムキムキのパワーではありません。
力を入れるのではなく、抜く。
氏曰く、"そっと触れる感覚"。
どれも興味深い内容ばかりで、
思わずニヤリとしてしまいます。
中でも
「カラダの動きを瞬時に軽くする方法」
という項目に目が留まりました。
たとえば、寝ている状態から起きようとする時、
カラダが重くて思うように動かない場合。
氏は自分が身を起こす瞬間をイメージするという。
そうすることで、そのイメージに引っ張られるように
実際の動きが滑らかになる。
つまり、目的意識を持つと、カラダが硬くなり、
不自然なぎこちない動きになる。
しかし、動作する一瞬先に意識を飛ばすと、
目的意識からカラダが解放され、
流れるような滑らかな動きが可能になる、とのこと。
やってみていただければわかりますが、
これは本当のことです。
全く違う感覚を得られるので、お疲れの方ほど
驚くことでしょう。
実は、ぼくが読書する際にも、
無意識のうちに似たようなことをやっています。
実際に文字を追いながらも、意識は常に数行先にいっている感覚、
といえばよいでしょうか。
本を読む際、理解しにくい箇所があると、
どうしても後戻りして何度も繰り返し読んでしまったり、
該当箇所で立ち止まってしまって進まない、という
お悩みをよく耳にします。
これは理解うんぬんの前に、膠着状態になっていることが
理解の妨げになっているので、意識を少し先に飛ばすことで、
あっさり解決できることが多々あります。
動作がスムーズになれば、理解も早くスムーズになります。
将棋の一流棋士も、常に今を見ながらも、
2,3手先に意識がいっている、と聞いたことがありますが
おそらく似たような感覚でしょう。
仕事にも、暮らしにも、応用の利くアイデア、考え方が
数多く書かれていますので、ぜひ読んで試してみてください。
カラダが整えば、心も整う。
柔軟なカラダに強さが宿る!
尚、本書を楽しむ際の音楽には、
ヴァイオリン奏者・樫本大進氏の
『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(第1集)』
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集(第1集)/amazonへ
をおすすめします。
世界最高峰のベルリン・フィルハーモニーで
第1コンサートマスターとして活躍する天才の演奏には
腰の据わった力強さと同時に、軽やかな自由さが感じられます。
どこか桜井氏の雰囲気と重なる印象があり、
きっといい相乗効果を与えてくれるはずです。
リラックスしてお楽しみください。
では、また次回。