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第150回『日野晃武道語録 人生の達人になる!』(著:日野 晃)

眼と耳で楽しむ読書術

ようやく梅雨が終わり、いよいよ夏本番。

受験の世界では「夏を制する者は受験を制す」と言われていますが、それはビジネスでも同様。猛暑でシンドイ夏をいかに過ごすかによって秋以降の実りが変わってきます。

そこで、この夏をより充実させるために紹介したい一冊が、

『日野晃武道語録 人生の達人になる!』(著:日野 晃)

です。

日野氏は「日野武道研究所」代表。

ジャズドラマーとして音楽界で活躍しながらも、30歳で武道に開眼。独自の身体論をつくり上げ、国内はもちろん、海外でもワークショップを展開。またヨーロッパのダンスカンパニーを指導するなど、ダンス界でも活躍。ジャンルを超えた多岐に渡る指導には定評があります。

本書はそんな日野氏の人生論、指導論の集大成的な一冊。

特に経営者、リーダーには読みどころだらけですが、たとえば、日野氏の道場に通ってくるスペイン人とのエピソード。

彼はスペインで15年ほど合気道をやっていたそうですが、何かが変だと感じ、日本の道場に改めて習いに来た、という。その彼が稽古終了後、ポツリと「自分はもっといろいろできると思っていたけど、何もできないことがわかり、愕然としている」と…。

その理由として日野氏は「自分がやれることを、やれるようにだけやっていては、それは現在の自分のバリエーションに過ぎないから、限界はすぐに訪れる」と分析。

仕事に限らず、どの分野でも、自分としては一生懸命に取り組んでいるにも関わらず、なかなか結果が出ない人は多くいるが、それは自分の範囲内のことばかりを繰り返しているのが、原因の一つ。いわば、クセのバリエーションを増やしているようなもの。

ゆえに、「やれることではなく、最初から相当工夫をしなければできないこと、それが大事なのだ。頭を徹底的に使わなければならないこと。だからこそ、現在の自分を超えることにつながるのだ」と語る。

もちろん、経験不足や練習不足の場合には、ある種の繰り返しの中でできるようになることもありますが、それだけでは、どうしても限度がある。とりわけ、壁にぶつかっている時や伸び悩んでいる時には、日常の延長にないものを求め、取り組むことでブレイクスルーできることがあります。

日野氏が武道や音楽、ダンスを通じて語っていることは、そのままビジネスに置き換えられることも多々あり、非常によき刺激になります。

特に経営者、リーダーは、部下の指導や組織活性化の参考になるはず。この機会に、ぜひ読んでみてください。

尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、

『雨のパリで』(演奏:サラ・マッケンジー)です。

オーストラリア出身でジャズ界期待の女性ミュージシャン、サラ・マッケンジーの意欲作。透明感あふれる歌声とキレのある演奏は、猛暑の夏に、爽やかな風を届けてくれます。

本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。

では、また次回。

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