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教養

第151回『組織を生き抜く極意』(著:佐藤優)

眼と耳で楽しむ読書術

先日、第148回全国経営者セミナーに参加しました。

中でも、佐藤優氏の講話「世界の動向と日本の外交」と、佐藤氏と手嶋龍一氏の対談「これから世界はどうなる!」が印象に残りました。

佐藤氏の鋭い視点はもちろん、2泊4日でイスラエルに行ったという行動力にも驚嘆!
もっと佐藤氏の本を読まねば!との思いを強くした次第です。

今年出た佐藤氏関連の書物の中で、特におすすめしたい一冊が、

『組織を生き抜く極意』(著:佐藤優)

です。

200ページにも満たない新書ですが、驚くほど中身が濃い!

外務省という一筋縄ではいかない官僚組織、及び外交官として世界と渡り合ってきた佐藤氏は、国内外の組織を熟知した稀有な存在と言えます。

本書では、そんな佐藤氏の組織論が、56の教訓として、まとめられています。

たとえば、今の時代のリーダーに必要な要素の1つ、”複合アイデンティティ”について。

“忠臣蔵”における大石内蔵助のリーダーシップを例に、哲学者ヘーゲルの弁証法的思考も踏まえて複合アイデンティティを持つ意義を詳説。

多様性が当然となりつつある今日、組織内の異なる意見をいかにまとめるかは頭の痛いところであり、腕の見せ所。この複合アイデンティティの考えは、大いに参考になるはず!

他にも、ロジックとレトリックの使い分けや、アナロジーとメタファーの回路をつくること、2つの危機管理など、リーダーに必要とされる素養についての話題が続々。

さらには、哲学のノーベル賞と言われる「バーグルエン哲学・文化賞」をアジア人として初めて受賞した柄谷行人氏による「四つの交換様式」も見逃せません!

組織論の王道を踏まえた上で、類書とは大きく異なる佐藤氏ならではの考えや知恵が満載で非常に読み応えがあります。

手軽な新書からは想像できないほど、これからの経営者、リーダーに求められることがぎっしり濃縮されています。

本書をきっかけに、知識や思考の枝葉が伸びていくことも期待できます。
激動の時代を生き抜くべく、この機会にぜひ読んでみてください。
この一冊で何冊分にも値するような傑作です!


尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲&サン=サーンス:ハバネラ他』
(演奏:レオニード・コーガン、ダヴィッド・オイストラフ他)です。

佐藤氏と言えば、ソ連、ロシアの印象が強いですが、本作はソ連時代の代表的録音。

1950年代、東西冷戦”雪解け”期に、レオニード・コーガンとダヴィッド・オイストラフ、ソ連が誇る2大ヴァイオリニストによる、初のアメリカ・ツアーの模様を収録したもの。

今とは違う響きを本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。

では、また次回。



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