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第152回『限界突破の哲学』(著:アレキサンダー・ベネット)

眼と耳で楽しむ読書術

暦の上では秋のはずですが、まだまだ暑さが続くこの頃。
心がピリっと引き締まる一冊を紹介します。

『限界突破の哲学』(著:アレキサンダー・ベネット)

です。

著者のベネット氏は、NHK「明鏡止水」シリーズへの出演などで注目度上昇中!

ニュージーランド出身ながら、剣道七段をはじめ、なぎなた、銃剣道等各種武道合わせて三十段を超える”青い目のサムライ”として知られています。

第144回全国経営者セミナーに登壇したことで、ご記憶にある方もいるかと思います。

本書は、五〇代を超え、スピードやパワー、肉体の衰えと向き合いながら、さらなる高みを目指すベネット氏の限界なき人生哲学を綴ったもの。 


五十代のベネット氏はもちろん、現役バリバリの若手有段者が、八十代の老剣士になぜ勝てないのか?

本書を読み解くキーワードの1つに”間合い”があります。

年齢を重ね、若い頃にはわからなかった「間合いで戦うことを覚えた」とのことですが、そのいい影響が随所に見受けられます。

たとえば、剣道を通じて培った「対面力」は、勝負はもちろん、対人関係におけるコミュニケーション能力にもつながっているとのこと。

「対面する時は相手と向き合うと同時に、自分と向き合うことにもなります。
 そのプロセスで、 『内面力』も培われます。
 対面力と内面力はワンセットで、人とうまくつきあうためには、 自分をどこまで理解できているかが問われます。
 対面力を培うことで、日常生活でも相手の発する非言語的なメッセージに敏感になり、 『ここは進むべきか、引くべきか?』といった間合の取り方もわかるようになります」

とありますが、これはビジネスにも通じるはず。

さらに、

「自分の個人的な性格や個性については、欠点も含めて、剣道が全部教えてくれます。
 よいところも悪いところも、すべて具体的な形で剣道に出て来ます。
 ですから剣道を直すことが、自分を直すことになります。
 外的な剣道の形を直すことで、内面の心も整い、 その心を保つことができれば、剣道の形もよくなるのです」

とありますが、これも剣道をビジネスや経営に置き換えて考えることができるでしょう。


また本書では「武道には引退が無い」と繰り返し語られていますが、やはり、これも、「人生には引退が無い」と置き換えることができます。

たとえビジネスの舞台を降りたとしても、人生に引退はありません。

ベネット氏の指導理論も見どころであり、経営者・リーダーにとって意義深い読書になります。

この機会にぜひ読んでみてください!


尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
ライク・マインズ』(演奏:アラン・ブロードベント・トリオ)

です。

グラミー賞には8回ノミネイトされるなど、名実ともにニュージーランドを代表するジャズピアニスト、アラン・ブロードベント。

“間合い”の妙味は、同郷のベネット氏とどこが通じるものが感じられます。
巨匠の名にふさわしい円熟の演奏を堪能できる新作、本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。

では、また次回。

 

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