最近、会社を清算するという案内状が届くことが以前より多くなりました。
清算する会社の多くで後継者がいないという理由があげられますが、 後継者がいないというのは、じつはその会社の財務の状態や将来性と深くかかわっていることで、清算の原因というより、そこから導き出された結果ともいえるのです。
では、どんな会社なら後継者がみつかりやすいのか、存続できるのか、どんな会社なら清算・倒産しか術がないのかを下の表を使って説明していきます。
まず、1番目の経常収支赤字、債務超過の会社の場合、行き着く先は倒産です。
事業を続ければ続けるほど資金が減り、あるいは個人資産を取り崩して補填することになり、かつ、債務のほうが大きいので、
なんらかの原因でいっぺんに倒産します。もちろん同業に従事する子供がいても、財務がわかるなら後継者にはなってくれないはずです。個人の資産をはっきりと分けて管理していれば別ですが、中小企業の場合には社長が会社債務の保証人なので倒産によって個人にも大きな影響があります。
つぎに、経常収支は赤字だけれどまだ資産の余裕があり事業を継続できる場合です。
この場合には清算を前提に後継者がでてくる場合もあります。また、経常収支の黒字化ができるなら状況は変わります。
さて、ここからは経常収支が黒字の場合ですが、黒字といっても千差万別です。債務超過なら新規銀行融資は難しい場合もあり、後継者は経営手腕を試されることになります。そして、多くのケースでなかなかうまくいきません。
同じ黒字でも資産超過であれば可能性の幅が広がりますが、B/Sに問題があるか、その問題がどの程度財務に影響を与えるかで未来が変わります。
B/Sに問題があるとはいったいどういうことかというと、かんたんに書くと資産価値がじっさいと異なるということや、簿価の金額では現金化しにくい資産が多く含まれているケースです。決算書上は表にでてこないものの、いざ廃業、倒産、事業承継、会社を売るとなるとこれらがあぶりだされてきます。
この問題をシンプルに考え企業財務を評価するためには、流動比率よりも当座比率をみることから始まります。
これらの比率は両方とも企業の安全性をみる比率で、下記の式になります。ご覧いただければわかるように資金繰りがうまくいくかどうかを判断するめやすです。ところが、流動比率のほうには分子に「流動資産」と書かれており、この流動資産にはすぐに換金できない在庫なども含まれているため即資金繰りとはリンクしない要素があるのです。
それに比べて当座比率の分子は現金・預金、売掛金、受取手形、有価証券など即時に換金しやすいものが多く、当座比率の数字が大きければ借入に依存することも少なく、安泰であることがわかるかと思います。
ただし、当座比率の分子にある受取手形の不渡りの可能性なども検証しないと企業の価値は正確にはでてきません。
事業承継、大口の新規融資など、企業に何か大きな変化があるときにはこれらの数字が検証されることになります。
企業の営業上の価値はこのように判断されているのです。