資産は流動資産と固定資産、繰延資産に分けられます。
流動資産は一般的に一年以内に現金化・費用化できるもので、現金・預金はもちろんのこと売掛金、受取手形、前払費用などもここに該当します。
固定資産は一年以上継続的に保有される資産とされる。土地、建物、機械。さらにはソフトウェアなどもこれに含まれます。
そして最後に繰延資産が登場します。この繰延資産はある特定の年の費用とはせずに毎年償却していくのがふさわしいという考え方で登場した資産になります。会社法によって創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費の5つに限定されているが、税法では少し違った定義をしています。
ところで、これら資産の中でも固定資産と繰延資産は、財務の本来の姿とキャッシュを見誤らせる要因になることがあります。
それは下記の2つの理由からです。
1、本来資産でないものが資産に計上され、財務内容を見栄えのよいものにみせかける
2、減価償却や資産の評価・価値によりじっさいの財務と乖離したものになる
たとえば店舗、事務所、作業場などを借りるさいの保証金などは将来返還されるものなので資産勘定にいれてもおかしくはないですが、権利金・礼金といった返還されないものは本来の意味では資産でもないのに、繰延資産とされます。(注1)
繰延資産であることから、損金で落とせず減価償却をすることになるわけです。
たとえば権利金・礼金が繰延資産に300万円計上されていたとすると、資産勘定からその金額を減らさないと本当の財務内容はわからなくなるわけです。
もちろん金融機関はある程度以上の与信をしている企業については修正バランスシートを作り、企業の財務を精査していますが、社長が財務に弱い場合はここで財務を見誤ることがあるのです。
借入金・買掛金といった負債の金額は評価によって変わることはありませんが、反対側にある資産は評価によって増やすことも減らすこともできてしまいます。財務内容をよく見せようとして資産評価をあまくしたり、逆に税金対策として厳しくしたりということはよくあることかと思いますが、経営者なら自分の会社の真の財務を把握するために財務をシンプルにするということを考える必要があると思います。
(注1)No.5460 建物を賃借するための権利金等
1 権利金等の取扱い
法人が建物を賃借するために支払った権利金、立退料などの費用で支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものは繰延資産となります。
ただし、不動産業者などに支払った仲介手数料については、その支払った時に損金の額に算入することができます。