最近の忘年会プランはドリンク込みで設定することが多くなりました。
一方、アルコール離れという現実もあり、ドリンク込みにする以上、ノンアルコールの充実も重要になってきました。今回は、独自性の高いティペアリングを定着させ、世界からお客様をひっぱる“ティペアリングの怪人”西村勉氏の『MAVO』を紹介しましょう。
『MAVO』の料理は『おまかせコース』のみで、和の暦七十二候に基づき、京都の繊細な季節感を西村シェフが独自な世界観で楽しませてくれるそうです。
私もよく活用する二十四節気。楽しそうですね。
まずは、
辻喜代治さんの抹茶とともに、一口前菜、抹茶を練り込んで揚げたクロッカンと飛鳥の蘇(牛乳を煮詰めたチーズ)からスタートです。
続いての料理にあわせては、ほうじ茶ベースのカルダモンとレモングラスで入れたお茶に、佐賀県の佐賀ビネガーの葡萄ビネガーで香りと色をつけ、炭酸でロゼに見立てて仕上げているロゼの泡が用意されます。
料理と合わせるとぶどうの印象が強くでます。
料理は、とろりとした仕上がりの卵黄のコンフィ、くるみ、イクラ、クルトンがはいってます。個人的にイクラの入った料理は好みではないのですが、このいくらの使い方は大丈夫で、おいしいです。
続いての料理に合わせては、ハッカクが入ったおくみどりの紅茶です。見た目、何かが沈んでいるこちらは、宇治のおくみどりの紅茶にハッカクが入っています。スパイシーな味わいです。ハッカクが入っていますが、もともとおくみどりの紅茶自体スパイシーなようです。
おくみどりの紅茶を調べると茨城の茶専門店
chabacoのおくみどりなど、いろいろありますね。
『MAVO』では、野菜の皮や果物の皮を乾燥機にかけて活用しているそうです。
スモークサーモンで巻いた秋刀魚とフォアグラのテリーヌ様お皿が続きます。
上にのっているのは巨峰とマスカット、利尻の雲丹で、インカのめざめのピュレ、赤ワインソースがそれられています。個人的な感想としては、やや、盛り込み過ぎてる印象です。
“舞妓”と名付けた子持ち鮎のショーフロアは見た目が印象的な料理です。
ちなみに、ショーフロアとは、肉や魚を加熱して、一旦冷まして、冷たいソースを上からかけ、ゼリーを表面に塗り、艶出しした見た目が華やかな料理です。ヴァンブランソースにコーティングしおります。有田焼の器でということで、カマチ陶器ですね。
あわせるお茶は、苦味の効いた緑茶玄米茶です。砕いたトンカ豆と急須に入れています。
鮎の苦味と違う苦味と旨味で楽しめます。
ここで、全粒粉のパンが提供されます。
次のお料理に合わせて徳島の乳酸菌発酵している阿波番茶が供せられます。
乾燥させた梅、カモミールにカルダモン、乾燥させたオレンジの皮が入ってるそうです。
紫蘇感を出しています。心地よい酸がよいですね。
お料理は、鱧のムースリーヌ 鱧の出しのブールブランソースときな粉の粒です。丁寧に裏ごしをしてあり、とてもなめらか、シルキーですね。ブールブランソースは定番ですがおいしい。
大原野の上田農園の賀茂茄子の焼き茄子はメインかと思うお皿。
ナスのスープにグランマニエを染み込ませて焼いています。オレンジのパウダー、バジル、紫芽を添えています。グランマニエで焼いた茄子が香り食感ともにいいですね。
あわせるお茶は、辻喜代治さんの抹茶にする前の茶葉で、65度3分で抽出してます。
続いての鱸に合わせて氷温抽出したかぶせ茶とシャルドネです。
氷温抽出したかぶせ茶。氷で呼び水だけしてじっくり入れたお茶。かぶせ茶の旨味、テアニンを魚介の旨味にわにあわせた 舌の上で転がすと旨味が広がります。
料理と合わせると後からいい感じの酸を感じる気がしますが、マダムによれば茶葉に酸を感じさせる際立った要素がないので、テアニンとグルタミン酸の同調がおこったのではないかとおっしゃってました。
シャルドネは、2011 Domaine Seguin Manuel Savigny Les Beaune Goudelettes。
このシャルドネをイメージして、氷温抽出のかぶせ茶はつくられているとのことです。
この同時対比は楽しいですね。
いかった鮮度の良い愛媛の鱸のポアレ 酢橘のブールブランソース
ポワロー、栗、茄子とオリーブのペーストが添えてあります。
鱸はぷりぷりの食感です。
氷温抽出の京田辺の玉露
旨味と甘味のお茶で、このお茶でリセットするのが狙いだそうです。
お料理は、名物の松ぼっくりで瞬間スモークした和牛サーロインのロティ。使用した和牛は、確か京都府南丹市の平井牛。
「使う食材には全てに命がある」というシェフの考えの基、寺社より納められた松ぼっくりにてフュマージュ(燻製)しているそうです。
ソースはヴァンルージュ。マスタードはカシスでビーツを添えてあります。
盛り付けは西村シェフのトレードマークのスタイルです。
あわせるお茶は、赤ワインに見立てたほうじ茶です。一緒にイメージしたピノをいただきます。
お茶のタンニンがカテキンに似ていることから深入りのほうじ茶を使用し、ハイビスカスで赤ワインの色を出しています。酸味にはハイビスカスとローズヒップ、甘みは桃とアプリコットのチップ、そして甘い香り出るバニラ、八角、トンカ豆です。なかなか秀逸です。
同時対比のためにブルゴーニュのピノノアールを注文して比べてみます。
ワインのようなボリュームのある酸はないものの、最後にくるバニラ香が樽のニュアンスを出しています。
ピノノアールは2012 Domaine Michel Noellat Vosne Romaneeです。
デザートは、シブースト、ばんしょうのソルベ、わらびもちです。
80度50秒で抽出した煎茶が添えられます。
京煎堂とおっしゃっていたと思います。
小菓子は、生姜の香りのフィナンシェです。薔薇の香りがします。
お茶のペアリングが秀逸でした。
独特な世界観で楽しいですね。
お茶の可能性をあらためて確認できました。
MAVO (マヴォ)
京都府京都市東山区下河原通上弁天町440 舞風館 1F
電話 075-708-6988