一方、アルコール離れという現実もあり、ドリンク込みにする以上、ノンアルコールの充実も重要になってきました。今回は、独自性の高いティペアリングを定着させ、世界からお客様をひっぱる“ティペアリングの怪人”西村勉氏の『MAVO』を紹介しましょう。
『MAVO』の料理は『おまかせコース』のみで、和の暦七十二候に基づき、京都の繊細な季節感を西村シェフが独自な世界観で楽しませてくれるそうです。まずは、辻喜代治さんの抹茶とともに、一口前菜、抹茶を練り込んで揚げたクロッカンと飛鳥の蘇(牛乳を煮詰めたチーズ)からスタートです。
続いての料理にあわせては、ほうじ茶ベースのカルダモンとレモングラスで入れたお茶に、佐賀県の佐賀ビネガーの葡萄ビネガーで香りと色をつけ、炭酸でロゼに見立てて仕上げているロゼの泡が用意されます。
料理と合わせるとぶどうの印象が強くでます。おくみどりの紅茶を調べると茨城の茶専門店chabacoのおくみどりなど、いろいろありますね。
『MAVO』では、野菜の皮や果物の皮を乾燥機にかけて活用しているそうです。
スモークサーモンで巻いた秋刀魚とフォアグラのテリーヌ様お皿が続きます。
“舞妓”と名付けた子持ち鮎のショーフロアは見た目が印象的な料理です。
あわせるお茶は、苦味の効いた緑茶玄米茶です。砕いたトンカ豆と急須に入れています。
ここで、全粒粉のパンが提供されます。
次のお料理に合わせて徳島の乳酸菌発酵している阿波番茶が供せられます。紫蘇感を出しています。心地よい酸がよいですね。
お料理は、鱧のムースリーヌ 鱧の出しのブールブランソースときな粉の粒です。丁寧に裏ごしをしてあり、とてもなめらか、シルキーですね。ブールブランソースは定番ですがおいしい。
大原野の上田農園の賀茂茄子の焼き茄子はメインかと思うお皿。
あわせるお茶は、辻喜代治さんの抹茶にする前の茶葉で、65度3分で抽出してます。氷温抽出したかぶせ茶。氷で呼び水だけしてじっくり入れたお茶。かぶせ茶の旨味、テアニンを魚介の旨味にわにあわせた 舌の上で転がすと旨味が広がります。
料理と合わせると後からいい感じの酸を感じる気がしますが、マダムによれば茶葉に酸を感じさせる際立った要素がないので、テアニンとグルタミン酸の同調がおこったのではないかとおっしゃってました。
シャルドネは、2011 Domaine Seguin Manuel Savigny Les Beaune Goudelettes。この同時対比は楽しいですね。
いかった鮮度の良い愛媛の鱸のポアレ 酢橘のブールブランソース鱸はぷりぷりの食感です。
氷温抽出の京田辺の玉露お料理は、名物の松ぼっくりで瞬間スモークした和牛サーロインのロティ。使用した和牛は、確か京都府南丹市の平井牛。
「使う食材には全てに命がある」というシェフの考えの基、寺社より納められた松ぼっくりにてフュマージュ(燻製)しているそうです。
ソースはヴァンルージュ。マスタードはカシスでビーツを添えてあります。
あわせるお茶は、赤ワインに見立てたほうじ茶です。一緒にイメージしたピノをいただきます。
同時対比のためにブルゴーニュのピノノアールを注文して比べてみます。
ピノノアールは2012 Domaine Michel Noellat Vosne Romaneeです。
デザートは、シブースト、ばんしょうのソルベ、わらびもちです。
80度50秒で抽出した煎茶が添えられます。
小菓子は、生姜の香りのフィナンシェです。薔薇の香りがします。
お茶のペアリングが秀逸でした。お茶の可能性をあらためて確認できました。



















