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愛読者通信

【著者インタビュー】「ご用聞き」から「課題解決営業」 への転換策

「愛読者通信」著者インタビュー

若手の早期戦力化について教えてください。

多くの会社では、実績のあるベテラン営業パーソンが若手を同行させてOJTを進めています。

ところが大概は、ベテランが自分の懇意にしている顧客ばかりに連れていき、雑談を数十分し、最後の数分でクロージングをして、「どうだ!こんな感じでやるんだ」となっているのが現実です。このような属人化された営業を見たところで若手社員には何の参考にもなりません。

属人化されたアプローチを誰でも、それこそ新人でもできる再現性のあるフレームに落とし込むことで営業員の早期戦力化ができます。

例えば、一般的に新規開拓を進めるにあたっての初回面談は、その人のセンスに依存する属人的なものとされがちですが、これもやるべき行動を分解し、フレームをつくることで、誰でもできる仕組みに落とし込めます。

例えば、成功する初回面談は課題解決につがなるニーズをただ聞けばいいのではなく、そこまでに次のような7つの段階があります。

 ①スモールトーク
 ②名刺ヒアリング
 ③面談目的の合意
 ④会社紹介
 ⑤ニーズヒアリング
 ⑥ベストチョイス提案
 ⑦進捗セッティング

スモールトークとは、場を温める雑談です。ここでの雑談とは、世間話ではなく、「あなたの会社に私は強い関心を示しています」と伝えることを指します。

例えば、「HPを拝見したところ、上海支店があるとのことですが、実は弊社の支店もすぐそばにあります」といった共通点や「HPを見て感心した」といった話を3、4分すれば距離が近づきます。

次に名刺交換ですが、名刺に「開発3課」と書いてあれば、「お名刺の開発3課はどういった業務を担当されているのですか?」など、必ず相手の部署の仕事を聞きます。相手は、自分の部署以外のことに関心などありませんし、その部署の仕事を把握しておかないと、これからの話がズレてしまいます。

その後は、面談目的の合意ですが、ここでは相手の目的(相手の利点)で話すことが重要です。

例えば、商品の案内でも「情報提供したい」とこちらの売り手視点で話すのでなく、「先日の展示会で有益な情報共有をできればとおっしゃっていましたよね」とこれからの話が相手のニーズを満たすものであることを訴えます。

会社紹介は、ここまでの3段階を踏んではじめておこないます。会社紹介では、全部を話すのではなく、相手の業務や関心がある部分を中心に話します。

これらが終わったら、質問と傾聴を繰り返し、相手のニーズとその裏にある潜在的な課題を見つけ、それを最も高いレベルで満たす商品やサービスを提案するのです。

このようにフレームをつくれば、経験の少ない若手もベテランと同じように成果を出すことができます。

OJTで同行させる際も、フレームを若手に事前に共有したうえで、その通りに進め、見本を示してあげるというやり方が効果的です。
 

著書『営業大全』の読みどころを教えてください。

『営業大全』は、課題解決営業を自社で仕組みにする実務を、体系的に分かりやすく解説しました。そのためマネジメント篇・新規開拓篇・既存顧客篇の3部構成にしています。

マネジメント篇では、経営者や営業部長に向け、これからの営業組織のあり方と組織的な営業能力の開発を提案しています。

新規開拓篇では、営業マネージャーや営業パーソン向けに、新規へのアプローチ方法、初回面談の準備、初回面談を成功させる具体的なコミュニケーションスキルなど、これまで属人的な技とされてきた新規開拓のやり方を体系的にまとめています。

既存顧客篇では、顧客分析に基づく仮説の立て方など課題解決営業を成功させるための具体策を提示しています。ここで紹介する内容は、これからの時代の顧客深耕・拡大の営業に必須のスキルです。

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