日産自動車は自己資本(有利子負債)の少なさを批判されている!
種々業界がコロナ禍に直撃されています。日本のGDPの10%を占める基幹産業の自動車業界において、日産は今期6712億円の純損失を計上し、
「日産一社がダメだ!」 と批判されています。
カルロス・ゴーン氏に責任を被せているようにも見えますが、決してそうではなく日本経済新聞においても、その財務脆弱性があまりにも酷いと指摘されているのです。
各社の負担比率を表していますが、
負債の規模 自己資本(剰余金) (億円)
(対自己資本,倍)
トヨタ 1.0 5兆6974
ホンダ 0.9 2兆6732
日産 1.9 1兆6429
マツダ 0.5 5689
スズキ 0.3 6043
スバル 0.1 5589
三菱 0.4 3996
負債の規模とは 銀行の計算するギアリング比率です。「有利子負債 ÷ 自己資本」で表します。
借金が自己資本の何倍あるのかの指摘です。日産は、飛びぬけて借金体質であることを表しています。1.9倍、自己資本総額の2倍近くの借金を抱えているのです。他の会社は1.0を超えていません!
トヨタは 自己資本総額、有利子負債があるのです。(トヨタ銀行などと言われ無借金だと思っている人がいますが,トヨタも大借金を抱えています)
いずれの会社も倒産しても迷惑をかけませんが、日産は倒産でもすれば銀行に火の粉が降りかかります。
よって、トヨタの借入金の1つの社債の利回りは0.5%ですが、日産は3月末には0.3%であったものが5月には4倍の1.2%以上に金利率が上がっています。
日産は、これから大規模な構造改革に乗り出すでしょうが、何をしようと思ってもお金をどう自分たちの力で儲けて、キャッシュフローをよくするのか、総資産を切り売りして調達するのでしょうか?
自己資本が少ない、自己資本比率が低いということが財務が脆弱と言われる所以です。外部から財務が脆弱と言われると資金調達は難しくなり、条件が悪くなるのです。
皆様の会社の財務力はどうなのですか?収益性・利益性は大切ですが 、益がよくても財務知識のない方はここが解っていないのです。
自己資本比率を高めるには、次の9項目を常に維持することです。そうすれば自己資本比率はよくなり、銀行がわが社を見る目が変わります
① 回収を早くする。
売掛金、サイトを短くきっちり回収する社内ルールの確立。もしくは現金売上を増やす。「回収は早く、支払いは遅く」京セラ稲盛氏の言葉です。何しろコツコツと努力するのです。
② 在庫を多くしない。
棚卸を頻繁に行い、不良在庫を消すシステム化を進め、回転率を高める。やろうと決意して、毎日毎日、努力すれば5年で変わります。
③ 機械設備を早く償却する。
早めの償却、即時償却、30%優遇償却、特損出し、下請け、協力会社の協力を得て実現
④ 利益処分を考える。
配当しない、配当は商品券や物で。役員賞与を出さず、経費の中で処理をする
⑤ リースを一考する。(金利交渉を強くやる)
⑥ 銀行借入は、中途でも返済する。融資残を少なくする。
⑦ 当座借越契約を結ぶ。必要な時に必要なだけ借り、余ればすぐに返済する
⑧現預金残は、月商分以下とする。剰余金は安全有価証券(利回りを)で運用する
⑨資本金は1億円以下とする。1億円を超える資本金は減資を行い、剰余金の中へ組み入れる(中小企業の特典を活かす)