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社員教育・営業

第37講 カスタマーハランスメント対策の実務策㉔

クレーム対応の新知識と新常識

それはカスタマーハラスメントではありません!
「じゃあ、私に原因があることを証明してください!」

 お客様のお申し出に対応したり、回答するために、企業としては、調査をしたり、社内で情報共有をして、意識合わせを行います。これは必須の作業です。その結果、企業として非がないと判断した場合、「非がない」ということと、なので、お客様のご要望に対応することを「お断りする」という話を、担当者は伝えることになります。

 その直後、自分の希望する対応どころか、企業に迷惑をかけられた(と感じている)自分は、特別対応をしてもらって当然だと思い込んでいる相手は、その回答に不満をもつことになるでしょう。そして、「それじゃあ、私が悪いってことですか!」や「あなたの会社に原因がないということは、原因はどこにあると言うんですか!」「それじゃあ、私が悪いって言うことを証明してください!」など、担当者にとって、困る言葉をたくさん投げかけてきます。

 むしろ、担当者は、お客様に「私の会社(製品)には問題がありませんでした」という回答をする時は、その直後に、「それじゃあ、私が悪いってことですか!」や「あなたの会社に原因がないということは、どこに原因があるんですか!」「それじゃあ、私が悪いって言うことを証明してください!」などと言われることは、折り込んでおかなければいけません。なぜなら、お客様は、自分の想定とは異なる回答をされると、つい、そう言いたくなり、そう言ってしまうものだからです。そうです、つい、言ってしまうのです。これも「客の口すべり」の1つですね。

 ほとんどのお客様は、この事例に対する自分なりの『答え』を持っているのです。その『答え』はどこから導いてきたかというと、インターネットのレヴューやコメント、知人や家族のアドバイスです。お客様は、企業に不満の連絡をする前に、必ず、インターネットに於いて同様の事例に関する情報は上がっているか、どちらに非の可能性が高い事例だと言われているのか、非に対する損害賠償の相場はいくらくらいかなどを調べ、自分の中で、ある程度の回答をもっているのです。

 そんなことをしている消費者は少ないとあなどっていてはいけません。むしろ、消費者は、企業に連絡する前に、インターネットで調べたり、家族や知人にアドバイスをもらう行動を起こすことを、自立した消費者の生成を目指している消費者庁は、消費者に促しています。つまり、企業に連絡をする前に情報収集をしている消費者が、正しい消費者なのだと企業の担当者は認識しておいてください。

 そのような経緯があるので、一定の『答え』を持っているのです。しかし、企業からの回答は、想定していた「答え」とは真逆の回答だった。なので、瞬間的に感情的になり「それじゃあ、私が悪いってことですか!」や「あなたの会社に原因がないということは、原因はいったいどこにあると言うのですか!」と、担当者を問い詰めるようなことを言います。挙句の果てに、「それじゃあ、私が悪いって言うことを証明してください!」などと、理不尽なことを言われることもあるものなのです。しかし担当者は、このような、理不尽なことを言われたからと言って、即座にカスタマーハラスメント客だと決めつけてはいけません。お客様にとって想定外の回答だったことで、感情が昂るのはしかたがない。そして、ダダをこねても仕方がない。と、一旦、受け流すようにしましょう。決して、「そんな理不尽な要求はカスタマーハラスメントです!」などと、相手に言ったりしないでください。

 ダダをこねたくなるその瞬間的な気持ちもわからないでもありません。

 ただ、担当者のあなたは、同じ要求を3回以上、つまり4回、言われたら、4回目は受け流すのではなく「お客様のほうが悪いかどうかについての証明は致しかねます。今ここで、はっきりお返事できることは、私どもの原因の特定にはあたらなかったということです」と言いましょう。感情的な相手、無理な要求をする相手などを、即時に『カスタマーハラスメント客』だと決めつけるのは、危険です。

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