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教養

第110回「草枕」(著:夏目漱石)

眼と耳で楽しむ読書術


桜が開花し、緊急事態宣言も解除され、どことなく明るさも感じられる年度末。
とはいえ、まだまだ動きづらいのも実情。
読書で"知の旅"をとことん満喫するのが、最も安全、かつメリットが大きいと言えます。
 
そこで今回、ぜひとも読んでいただきたい一冊は、『草枕』(著:夏目漱石)


110-2.jpg
 
草枕 (ワイド版岩波文庫)/amazonへ
 
です。
 
言わずと知れた、古典の名作中の名作。
 
「山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。
情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。」
 
との冒頭部分は、誰でも一度は見聞きしたことがあるほど有名。
各界のトップたちが愛読していることでも知られていますが、
実は、まだ読んだことがない人がかなり多くいるのが、
なんとも惜しい限り。
 
最近も『教養としての~』という類の本が続々と出版されていますが、
もし、教養としての読書を望むのならば、
『草枕』を読まずして何を読む?
と思わずにはいられません。
 
あのアニメ界の巨匠、宮崎駿監督は、
『草枕』への想いをたびたび語っています。
 
たとえば、
 
「ぼく、『草枕』が大好きで、飛行機に乗らなきゃいけないときは
必ずあれを持っていくんです。何度読んでも面白い」
 
「どこからでも読めるところも好きなんです。
終わりまで行ったら、また適当なところを開いて読んでりゃいい。
ぼくはほんとうに、『草枕』ばかり読んでいる人間かもしれません」
 
「だけど、難しい本ですね。難しいところは覚えてないんですよ。
注ばっかり読まないといけないから、そういうところは飛ばして読みますが、
漱石の漢文の素養は本当にすごい」
 
漢文調で教養を問われる要素もある本なので、
難解と称されることも多々あり、
読みかけたものの挫折した人も数知れず。
 
しかし、あの宮崎監督がここまで絶賛する数少ない本です。
読まないままでいるのは損失の極みですし、
繰り返し読むに値する一冊であるのも、
十分すぎるほど伝わるのではないかと思います。
 
ちなみに、ぼくは、有名な冒頭部分に続く箇所にこそ、
本書の真髄があると考えています。
 
「住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生まれて、画(え)が出来る。」
 
まさに名文としか言いようがないですし、
本書にどれだけの価値や意味があるのかも見えてきます。
いつもと異なる思考が鍛えられます。
 
まだ読んだことない方はもちろん、
既読の方も、経営者やリーダーとしての人間力、教養力を高めるべく、
この時期にぜひ読んでみてください。
読むほどに深い一冊!
 
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『ブラームス:4つのバラード、2つのラプソディ、間奏曲集』(演奏:グレン・グールド)
 
110-1.jpg
 

です。
 
 
鬼才グールド、最後の録音となった名盤。
グールドは『草枕』を愛読していたことで知られ、
カナダのラジオ番組にて自ら朗読したことすらあるほど。
『草枕』を読む際に、これ以上に適した音楽は他にないと思わずにはいられません。
合せてお楽しみいただければ幸いです。
 
では、また次回。
 
 
 

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