秋の読書週間が始まりました。
この時期になると必ず、大手新聞社による
国民の読書意識調査の結果が発表されます。
ごく大雑把に言えば、2人に1人が、
"1ヶ月に一冊も本を読まない"
とのこと。
これは年代問わず、です。
よく言われる読書離れは
若い世代に限った話ではありません。
では、本を読まない理由は何か?
必ず上位に入るのは
1.時間がない
2.読みたい本がない
3.値段が高い
といったあたりです。
この中で注目すべきは
3番の"値段が高い"です。
近年、出版業界では、
本の定価の目安をだいたい1,200~1,300円あたりに置いています。
それ以上になると、"高い"という印象を持たれて
売れ行きに影響が出るとか。
ギリギリが1,500円で、
1,600円を超えると、完全に"高い"というイメージになります。
実際、書店で人の様子を見ているとわかりますが、
1,600円以上の本においては、買うかどうか迷った場合に
買わない確率が圧倒的に高くなります。
たとえ、それが、かなりいい本だと感じている場合でも、です。
どうでもいいような付き合いの飲み会には
普通に5,000円払うのに、1,600円の本に対して
そんなに惜しむのは、なぜ?(笑)
正直、不思議でなりません。
しかし、逆をいえば、1,600円以上の本を買う人も
読む人も少ないわけです。
値段が上がるほど読む人が減る、といっても
過言ではありません。
読書によって、他社やライバルとの差別化、
自身を向上させることを考えている方にとっては
値段の高い本を読むことは、非常に有益といえます。
もちろん、高ければいいというものでもありませんが、
高い本にはそれなりに理由があります。
買って損した、と思う確率は
安い本を買う時よりも、かなり少ないはずです。
今回紹介する本は
『習得への情熱』ジョッシュ・ウェイツキン(著)
習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法/amazonへ![](http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=jmcaavdept-22&l=as2&o=9&a=4622079224)
価格は3,000円(税抜)です。
1,600円どころか、その倍近い値段。
しかし、間違いなく金額以上の価値があります。
3万円でも全く惜しくない、とぼくは思いますよ。
それほどの内容です。
本書の著者は、映画『ボビー・フィッシャーを探して』のモデルとなり、
"チェスの神童"と呼ばれた男。
全米ジュニア王者に2年連続で輝きながらも、
ある時、全く経験のなかった武道の世界へ転身。
太極拳推手の世界選手権覇者になった上、
黒帯の柔術家となった、トップ中のトップです。
いわば、デスクワークから、アスリートに転身して
いずれの世界でも頂点に立ったようなもの。
このような離れ業がなぜ実現できたのか?
その秘密が本書にあります。
著者の勝負人生を通じて、
トップレベルになるために何が必要なのか、
いかに学ぶべきか、が克明に描かれています。
ポイントとなるのは、
チェスで身につけたものを武道に応用して成功した、ということ。
つまり、ビジネスにおいても応用が利く考え方といえます。
また、彼が幼少時から受けてきた
多くの一流指導者のことを知る点でも秀逸。
経営者はもちろん、何らかの形で
人を指導したり、育てる立場にあるなら必見です。
ちなみに、この内容をセミナーで学ぼうと思ったら、
3,000円どころか、3万でも無理です。
自らの能力向上や差がつく読書を実践したい方に
ぜひおすすめします。
尚、本書を読むときに、おすすめの音楽は
『サキソフォン・コロッサス』(ソニー・ロリンズ)
![45-2.jpg](http://www.jmca.jp/column/dan/45-2.jpg)
サキソフォン・コロッサス/amazonへ![](http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=jmcaavdept-22&l=as2&o=9&a=B00LSYYHJ2)
です。
巨匠ソニー・ロリンズの音楽には、ジャズの魅力が詰まっています。
特に名曲揃いのこのアルバムにおける
共演する凄腕ミュージシャンたちとのアドリブの応酬、
その中に見られる絶妙なかけひき。
本書に通じる部分も感じられ、
読書の実りをより豊かにしてくれます。
ぜひ合せてお楽しみください。
では、また次回。