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人事・労務

第109話 働き方改革関連法が成立しました

「賃金の誤解」

賃金管理研究所 所長 弥富拓海
http://www.chingin.jp


労働基準法や労働契約法など合わせて8本の法律で構成された働き方改革関連法は、6月29日の参議院本会議で採決が行われ、可決、成立しました。

法律のポイント①

労働基準法、労働安全衛生法の見直しとして「時間外労働の上限規制」が定められます。これまでも時間外労働の上限は原則として月45時間・年間360時間まででしいたが、特例条項が付加されれば、実質的には“青天井だ”との批判がありました。  

このたびの改定では特別な事情があっても、さらなる臨時的な時間外労働が認められるのは年間6か月まで。単月では休日労働も含めて月100時間未満、連続する2~6か月では月平均80時間までとなります。年間では720時間が上限です。この時間外労働の上限規制は、大企業では来年2019年4月から、中小企業では再来年2020年4月から始まります。

この法律に違反した場合には罰則の対象となり、使用者側に、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。ご注意ください。

あわせて勤務間インターバル制度の普及促進(労働時間等設定改善法)が定められ、健康を確保するため客観的な記録などによる労働時間の把握をすべての企業に義務づけるなどが盛り込まれています。

ポイント②

多様で柔軟な働き方を実現する新たな仕組みとして、一部高収入の専門職を対象に、労働規制を緩和し「働いた時間ではなく成果」で評価する高度プロフェッショナル制度が創設されます。この制度の適用には本人の同意が必要ですが、適用されると、残業や休日出勤をしても労働者に割増賃金は支払われません。ただし労働者の健康確保措置として、年間104日以上、4週間で4日以上の休日を確保することなどが義務づけられます。この高度プロフェッショナル制度は2019年4月から始まります。
同制度の対象になるのは、年収1075万円以上の証券アナリストや医薬品開発の研究者、それに、経営コンサルタントなどが想定されています。最終的に年収要件や対象の職種をどうするかは、今後、労使双方が参加する国の審議会での議論を踏まえ、厚生労働省が省令で定めることになっています。

ポイント③

不合理な待遇差を解消するための規定として「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が整備されます。目的は正社員と非正規労働者の待遇の差を無くすことであり、職務内容、配置が同一である場合の均等処遇の確保が義務化されます。派遣労働者についても同じ水準の賃金を支払う均等処遇が示されました。この「同一労働同一賃金」の実現に向けた取り組みは、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から始まります。

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