本書が初めて世に出たのは、今から約40年前以上のこと。
当時75歳だった曹洞宗大教師・関大徹氏による、入魂の一冊。
名著として高く評価されながらも、悲しいかな、長く絶版状態のまま、
中古市場で高値がつく、"幻のお宝"と化していました。
しかし、この程、東京・江戸川区にある名物書店、
「読書のすすめ」による"ドクスメレーベル"第一弾として待望の復刊!
明治36年生まれの老師が説く、骨太な人生論が評判を呼び、
重版に重版を重ねて、現在18刷のベストセラーとなっています。
目次を見ると、時流とは程遠い、それどころか、
かなり時代遅れのような印象すら抱く本書が、
なぜ今、それほど求められているのか?
そして、特筆すべきは、特に経営者やリーダーを対象に
書かれたものではないにも関わらず、
この上なく、優れたビジネス書としても楽しめることです。
たとえば、あの1929年の世界大恐慌の折、
経済の荒廃とともに、人心も荒廃していく中、
老師らのとった行動は、極めて見もの。
現在のコロナ禍と重なる部分もあり、
現状打開のヒントになるかもしれません。
また、個人的には、以下の"徳"に関する老師の言葉に
強い感銘を受けました。
これはこじつけだが、「徳」という字をよく見るがいい。
行人編(ぎょうにんべん)に十四の一心と書いてあるではないか。
十四年間、一つの心を持って行えば、かならず得るものがあるであろう。
もし、最初の十四年でだめなら、もう十四年がんばる。
他にも
・病なんて死ねば治る
・社長は便所掃除をせよ
・自殺するなんて威張るな
・地震ぐらいで驚くな
・死ねなんだら死ぬな
など、今、このご時世だからこそ一層心に響く、
名言や人生論が続々!
多数の著作を持つ実業家の執行草舟氏は、本書の復刊に寄せて、
この本は私の命の「恩人」なのだ。
いや、それだけではない。
私が事業を起こすときの、その創業の決意を促してくれたのも本書なのだ。
と巻末にて、熱い想いを述べています。
経営者やリーダーとしてはもちろん、
今を生きる一人として、ぜひ読んでみてください。
読むほどに深い一冊!
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『クール・ストラッティン』(演奏:ソニー・クラーク)
です。
アルバムジャケットのカッコよさも含め、ジャズの歴史に残る名盤。
本書が最初に出版されたのは1978年ですが、
このアルバムは、それよりさらに20年前の1958年に録音された作品。
つまり、60年以上も前のものですが、古びるどころか、
今もなお輝きを放っています。
長きにわたって価値を持ち続ける本と音楽、
合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。