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- 第94回『人間関係が一気にうまくいく ねぎらいの魔法』(著:兼重日奈子)
実りの秋、そして読書の秋。
読んでいた一冊の中に、ドキっとする言葉が出てきました。
「結局、会社は売上しか見ていないんです。
売れてる時は、さんざん褒めて持ち上げておいて、
売れなくなってくると途端に、会議で前に立たされて怒鳴られる。
みなさんの周りでもこういうことが起こっていませんか?
それくらい、今は『結果』を出すのが難しい。そして、残念ながら、
『結果』を出せない人間にじっくり時間をかけられるほど、企業も余裕がありません。
でも…」
でも!?
この後に続く言葉とは、何だと思いますか?
それは、古来より日本人が心に宿している、
「ねぎらい」です。
「今の現場に一番足りないのは、『人をねぎらう』ということ」
「自分のことを認めてくれる場所で、人は力を発揮したいと願うからです」
気になる言葉が、次々出てくるのが
今回紹介する
『人間関係が一気にうまくいく ねぎらいの魔法』(著:兼重 日奈子)
のべ1万店舗を指導し、停滞する現場の活性化に貢献してきた著者が、
7つの物語を通じて教える、ねぎらいの秘訣。
本書では、
・行動をねぎらう
・感情をねぎらう
・来し方をねぎらう
・ありのままをねぎらう
・存在をねぎらう
・自分をねぎらう
の6つの「ねぎらい」が、リアルすぎるほどリアルに、
わかりやすく実感できます。
「『世の中のために』ももちろん、素晴らしい。
でも、まずは自分が、自分の家族が、自分の上司が、自分の仲間が、
幸せにならなければ、『世の中』は決して幸せになりはしない」
と著者は語っています。
成果至上主義が、ますます加速しつつある今日、
どんなスキルよりも、この「ねぎらい」がこそ、
経営者、リーダーに、実は最も必要なスキルと感じます。
一見、あたりまえのようなことと思えるかもしれませんが、
そのあたりまえを実行することが、いかに難しいのか。
そして、いかに大切なのか。
あなたの職場には、「ねぎらい」がありますか?
この機会にぜひ読んでみてください。
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『懐かしい -NATSUKASHII-』(演奏:ヘルゲ・リエン・トリオ)
ノルウェージャズ界の名手ヘルゲ・リエンの傑作。
ジャケット含め、どことなく、ねぎらいの雰囲気に通じるものを感じます。
透明感あふれるサウンドとともに、ぜひ良き読書を!
では、また次回。