今回は、街を歩いているときに見つけたユニークなオブジェを3点、撮影してみました。 上から順に、東京の町田市にて見つけた本を読む銅像、銀座で見つけた天使、島根県松江市にいた小泉八雲像です。
前回、前々回と二回に渡って日本経団連主催の洋上研修で学んだことをご報告しましたが、今回から再び「最強のモノづくり」に関するお話に戻ります。今回は192話の続きで、レベル1の中で「必要な設備の内製化」についてお話いたします。
レベル0:ダンゴ生産
レベル1:工程内の流れ
レベル2:工程間の流れ
レベル3:工場内の流れ
レベル4:工場間の流れ
レベル5:お客様への流れ
レベル6:一気通貫の流れ
なぜ設備を内製化するのでしょうか?ちょっと考えてみてください。ただお金を節約できるからだけではないと思います。私が考えた答えは次の通りです。
それは「理想の工程を自分で安価に作る」ということです。「最強のモノづくり」では、よりレベルの高い流れを作ることを目指しています。
しかし、売っている設備に流れを求めるのはけっこう難しいことです。それぞれの専門の設備メーカーが作りますから「以前よりスピードが速くなった」ということはあっても、「以前より流れるようになった」という設備はあまりありません。
そこは、私たちが自分で作ることになります。192話でご紹介したS社でのプレス機製作の目的も、工程内の流れの創造でした。そして、自分たちであり合せの材料を使って作れれば明らかに安く上がります。そして、その過程に携わった人は技術的に大きな成長が望めます。
しかし、設備なんか作ったことがないし…という方も多いことでしょう。もちろん簡単ではありませんが、2つのことを意識していただくと、ハードルが一段あるいはそれ以上に低くなると思います。
それは、作るのは「汎用機ではなく専用機」であること。そしてもう一つは「自動機でなく、半自動機」であることです。
例えば、電気屋さんで売っている食器洗い乾燥機を想像して下さい。あの自動機械はかなり複雑な構造です。
まず、コンパクトなところに皿やコップや箸と、いろいろな形や大きさの食器類をビッチリ入れられる構造になっていて、かつそれらのバラバラな形のものをきちんと洗うために洗浄液がいろいろな方向からかかるようになっています。
これは自分では作れません。たとえ作れたとしても、買った方が断然安いでしょう。そして、なぜそんなに複雑かというと、汎用機だからです。お皿もコップも箸も何でも洗えて、加えて速く、そして勝手に乾燥もしてくれるという、すべての項目を満たす全自動汎用機だからです。
しかし、内製化で目指すのはそんな立派なものではなくて、洗えるのは同じ形をしたお皿だけという専用機で、そこに人がいて、洗い終わったら乾燥機に移動するという半自動機です。
同じ形のお皿であれば、どの方向から水をかければ汚れが落ちるかは極めてシンプルです。変化させる必要はありません。水道の蛇口を一番いいところに固定して、放水を繰り返せばいいのです。
そして横にヘアドライヤーのような温風が出るものを固定しておいて、ワンサイクルごとに入れ替えるというやり方です。これなら出来ますよね。
上の写真はD社が作った洗浄機です。壊れたドラム式の洗濯機を改造して作りました。切削機の横に置いてあって、切削のタクトタイムに合わせてゆっくり一個ずつ洗います。
以前、フロンが禁止になった時に、大型の汎用機であるフロン洗浄機が使えなくなり困りました。その時、切削直後であればお湯で十分に切削油が落ちると分かり作ったのですが、工程に直結していますから運搬などもなくなり、何よりリードタイムも短くなって、前よりずっと流れが良くなりました。
このように、個別のスピードから全体の流れへとモノづくりを変える、世の中で売っていないオリジナルな設備をご自分で作るのです。
自分で作ったのですから、何か変化があっても改造は簡単です。変化に対して強いし、そういうことをすべて自前でするので、常に人が育つ環境になって行きます。
そこで、設備は買うものと思っていないで、まずは簡単なものから作り始めてみてはいかがでしょうか。間違いなく競争力が増すことでしょう。
追記 先日ご報告した日本経団連洋上研修についてのお問い合わせがありました。日本経団連洋上研修につきましては、日本経団連事業サ-ビス℡03-6742-0042(※スカイプができるようにする)までお問い合わせください。
なお、今年度催行いたしました研修の様子は、下記アドレスより、洋上研修⇒ブログでもご覧いただけます。
http://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/seminar/
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