「台湾に来るようになってイライラが高まった」
臥龍は、今回のツアー冒頭、日本メンバーに車内レクチャーをした。
「日本企業の最も大きな弱点は遅いこと」(臥龍)
日立を再生した川村隆氏は、こう語っている。
原則「結論はトップダウンで決める」
P84『会議で結論を出すには、ポイントがあります。「時間を区切る」ことと、「情報不足の状態でも、必ず決める」ということです。(中略)「必ず決める」に関しては、「結論はトップダウンで決める」という原則を持つことがまず大事でしょう。』
最大の武器は「スピード」である!
P40『語弊を恐れず言えば、大抵の改革は、スピードさえあれば何とかなるものです。先手を早く打てるというだけでなく、撤退あるいは修復にも早く着手できるようになるからです。(中略)目まぐるしく世界情勢が変わる今の時代に、昔のようにあらゆる部署の要求を聞き、みなが納得するような案を導き出すようなやり方をしていたら、改革はできません。結論が出るころには、他の企業ははるか先を走っているでしょう。しかし、スピードをもって改革をしていれば、たとえ経営判断で誤りがあったとしてもすぐに撤退でき、修復できます。何も行動を起こさないで議論を重ねるより、行動を起こしてから修正する。今の時代はそのスピードこそが求められています。』
共に「ザ・ラストマン」川村隆・著(角川新書)より。
「スピード感のなさ」が日本全体を貧しくしている。』という警告を発している方もいる。
『30年ほど前のこと、日本はアメリカの象徴であるロックフェラーセンターや、アメリカの心とまで言われたコロンビアピクチャーズまで買収した。東京都の地価だけでアメリカ全土を購入できると言われた。そんな日本が、なぜここまで貧しい国になったのだろうか。
不動産バブルがはじけたから?それもあるだろう。東芝が半導体をつくれなくなったから?それもあるだろう。少子高齢化が進んでいるから?それもあるだろう。金融業が発達していないから?それもあるだろう。日銀がお札を十分に刷らないから?それもあるだろう。
だが、これらはどれも決して問題の核心ではない。率直に言おう。日本の経済をここまで貶めているのは、日本のビジネス社会にスピードがないからだ。私はそう確信する。
日本企業と交渉すると、「はい、検討します」と言う。それから2週間で会議を通すから待ってくれと。そして待つ。そのあげく、白でもない黒でもない返事をしてくる。そして違う提案をすると、さらにまた2週間。ビジネスシーンの状況はめまぐるしく変わっていくのに、日本企業は決断が遅い。いや、「遅すぎる」。もちろん早い企業もあるが、おおむね遅いのは否めない。高速道路に自転車がいるようなものだ。
日本人であれ、外国人であれ、日本で働く外資企業のビジネスパーソンの間で、この日本企業の遅さがよく話題にのぼる。趣旨はほぼ同じだ。日本人は勤勉なのに、この遅さが仇になっている、と。
私は、私の愛する日本の企業がそう評価されることに心を痛めている。勤勉で惜しみなく働く日本企業の社員たちが不憫でならない。もったいないとしか言いようがない。さらに悔しいのは、当の日本企業が、スピード感がないことでどれだけビジネスチャンスを失っているかまったく自覚していないことだ。早く気づいてくれ、私の愛するニッポンとニッポン人。一刻も早く気づいて、そして変わってくれ。そう願わずにはいられない。
私が言いたいのは、個別の企業が、スピード感がないゆえ損をしているというだけではない。このこびりついた悪習が、日本全体をダメにしているということだ。このスピード感のなさが、日本人を貧しくさせているのだ。この数十年で日本は莫大な富を失った。
「世界は悪ガキを求めている」妹尾輝男・著(東洋経済新報社)より。
今回、台湾NO.1や世界NO.1の企業を5社訪問、うち2社は上場、当然、世界市場を相手にしている。
一番、取引したいのは日本企業と口々に言う。
しかし、時と共に優先順位はどんどん低下していった。
何故か、「余りのスピードの遅さにイライラする」からだ。
昨日、具体的に言ってくれた。
「会議が多い、それはまだいいが、とにかく出席人数が多い。しかし発言は少ない、しかも結論が出ない。そのくせ議事録は丹念に取り、確認を取る。このような無駄な時間に貴重な人生を奪われることに、我慢がならない」
Q.何故、出席人数が多いのか?
A. 意思決定をする勇気がないからだ。
Q.何故、議事録を丹念に取るのか?
A.「私は悪くない」という証拠が欲しいからだ。
臥龍は、35歳から頻繁に台湾に経営指導に伺うようになった。
それからイライラ感が高まった。
何故か?
スピードの世界標準を知ってから、日本企業の経営者の意思決定の遅さ、実行の遅さにイライラし始めたからだ。
まさに「高速道路に自転車がいるようなものだ」った。
例えば、臥龍の過去現在の全ての顧問先を成長性の高い順に並べ、社長に送ったメールに対しての返信の早さも順に並べ比べると、見事に比例する。
この怖さを、社長ご自身が分かっていない。
Q.あなたは開封、即返信しているだろうか?
99%は2秒でいいものばかりだ。
ちなみにトップからの返信スピードが一番早かったのは、物語コーポレーションの小林佳雄さんだった。
そこで以下のような社内ルールをお勧めしている。
⇒ https://e-garyu.info/mana/rule.html
今年の3月での台湾APRAの訪日研修の間、日本滞在中に学んだことからの実行策指示を、早速自社に発信している場面をもう何度も見た。
日本メンバー、自社に対して、滞在中に学んだことからの実行策指示を幾つ出しているだろうか?
年率115%成長にこだわると、5年で200%(倍増)成長となる。
これが世界標準だ。
台湾と同様のスピード感を感じる日本APRAメンバーは、もう引退されているがLFCの井上武さん、物語コーポレーションの小林佳雄さん、現役ではリハプライムの小池修さん、つばさホールディングスの猪股浩行さん、長坂養蜂場の長坂善人さん。
台湾APRAメンバーや上記の5人と他のトップとの決定的違いはたった一つ。
このたった一点が、企業成長に大きな格差を生み出す。
正確にいえば、企業という子どもの成長機会を奪い、潜在成長力の顕在化をわざわざ抑え続けている。
これは大きな社会的損失、「この数十年で日本は莫大な富を失った」訳だ。
明日、「このたった一点の違い」を述べるので、まずはご自身で仮説を立てておいて欲しい。
台湾より愛を込めて。臥龍