マーケティング用語で「スマイルカーブ」という言葉があるのですが、皆さんご存知でしょうか?
電子機器産業に特徴づけられるように、上流に位置する企画、設計、開発企業と下流に位置するソリューション・コンサルティング販売部門は、利益率が高いが中央に位置する製造会社は利益率が低いというセオリーで、このような絵になり、スマイルマークになるからです。
エルピーダーメモリやシャープの経営危機を見せつけられるにつけ、考えてしまいます。
企業の利益が出ない要因に、円高や政権の無策などといろいろ言われますが、私の申し上げるデフレ要因である新興国の工業化の進展に対して、そこへダイナミックに製造を変えられない島国日本人のしがらみ経営の深さかもしれません。
台湾や韓国の経営者は、製造部門をダイナミックにそれらの国に移し、従来の低付加価値製造工場を閉鎖し、従業員を切り捨てるなどのドライな行動に出ているのです。
大陸的狩猟民族だとの言葉で済まされないと思うのですが・・・。
単なるコモディ的(一般的)な機能を提供しているだけでは、得られる付加価値は急速的に下がると前々から私も申し上げています。
今や単なる下請作業は、コストダウンばかり要求されています。
製造業の機能だけでは存在価値はなくなりつつあるのです。
先日も
「来期又、10%のコストダウンを要求されました!」
「もういい加減にケツをまくって『出来ません!』と言えよ!」
と冗談半分に申しました。
「先生、それなら注文がきませんよ!」
「社長! どうせ数年後には、本当にそのようなコストダウンに対応できなくなるよ! 今のうちに単なる下請け体質から、相手企業がどうしても必要とする製造下請けに変質しないとダメだよ。」
それには、企画・開発・設計・試作・提案機能を持たない限り、明日はないと申し上げるしかありません。