menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

戦略・戦術

第210回 事業承継税制だけはやめなさい

強い会社を築く ビジネス・クリニック

4)長い経営には何がおこるかわからない

経営には、マサカの坂があります。長い時間のなかで、何が起こるかわからないのです。経営環境が大きく変わり、それでも会社が生き残るためには、事業を大きく変えてしまうことも、往々にしてあります。いわゆる事業転換です。そうせざるをえない時があるのです。

 

大災害の被災を受けて事業転換せざるをえなくなった。後継者が不在のためM&Aで株式を売却せざるをえなくなった。大きな品質事故が起こって事業縮小せざるを得なくなり、従業員を大幅に減らした。

等など、中小企業のマサカの坂は、毎日どこかで起こっているのです。それがいつ、自分の会社にくるかはわからないだけ、なのです。

そう思えば思うほど、事業承継税制には、手を付けないでほしいのです。

 

5)会計事務所が勧めるワケ

なぜ会計事務所は事業承継税制を勧めるのか。この税制の承認を受ける時、そして認証後、最初の5年間は毎年、その後も3年おきに、税務署への資料提出が必要になります。猶予の条件を満たしているかの確認資料です。

会計事務所にすれば、通常の申告業務以外の新たな業務受託ということになります。いわば、会計事務所にとっては、いいメシの種なのです。税理士協会においても、事業承継税制の活用を各会計事務所に勧めています。業界をあげて新事業拡大を目指しているのです。

 

しかしこの事業承継税制はあくまでも、国にとっての税の取りっぱぐれがなくなるだけです。猶予と称しつつ、必ずどこかで召し上げることになるのは目に見えています。その一方で、事業承継税制を受けた側にとっては、認定取り消しの要素があちらこちらに存在しています。多くの会計事務所は、そのリスクの実態を把握できていないです。

 

リスクの詳細を理解している会計事務所は少数派です。もし会計事務所が事業承継税制を勧めてくるのなら、この記事で紹介したリスクを、その事務所に投げかけてほしいのです。事業承継税制を使っての株式対策だけは、絶対にしないでほしいのです。

1 2

3

第209話 令和6年の税制改正前のページ

第211回 自己資本比率を上げるため持ち合い株式を整理せよ!次のページ

関連セミナー・商品

  1. 「第37期 後継社長塾」

    セミナー

    「第37期 後継社長塾」

  2. 社長の財務戦略

    社長の財務戦略

  3. 井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

    音声・映像

    井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

関連記事

  1. 第203話 投資育成会社に株式を持たすのはやめなさい

  2. 第87話 悪い兆候にすばやく「畳む 削る 変える」の行動を!

  3. 第154話 やがて、令和時代の節税保険商品が生まれます

最新の経営コラム

  1. 第184回 長野土鍋ラーメンたけさん小布施店 @小布施 ~世界に躍進する「ビーガン味噌ラーメン」

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年5月8日号)

  3. 第328回【社長のリーダーシップ編⑤】リーダーに必要な4つの要素④「変化への対応能力」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 後継者

    第63回 リーダーにはコーチが必要
  2. 社員教育・営業

    第157回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方79 振り返りをして良かった...
  3. 人事・労務

    第31話 法定労働時間と所定労働時間を考える
  4. ビジネス見聞録

    3分でつかむ!令和女子の消費とトレンド/【第4回】令和女子と消費の変化〈FOOD...
  5. 戦略・戦術

    第五十五話_理想の人材との人間関係を築く方法 その2
keyboard_arrow_up