「事業承継税制だけはやめなさい」
と私たちは言い続けております。
「うちの税理士からは事業承継税制を勧められています。」
とおっしゃる経営者のほとんどが、事業承継税制のリスクをよく理解されていません。ここで改めて、私たちがなぜ『事業承継税制』に反対するのか、書かせていただきます。
1)終わりなき猶予であり、免除ではない
事業承継税制は、納税『免除』ではなく、納税『猶予』です。消えてなくなるわけではなく、次世代へと先送りされるだけなのです。
「免除と書いてありましたよ。」とおっしゃる経営者がおられます。それは、猶予された後継者が亡くなった場合に、その亡くなった当人は免除される、という意味です。亡くなった後は、またその後継者が『猶予』のバトンを引き継ぐことになります。どこまでも続く、終わりなき『猶予』なのです。
どこまでも続くには、手続きの継続が必要になります。最初の5年間は、税務署へ毎年、資料の提出が必要です。事業承継税制で『納税猶予』の要件を満たしているか、チェックを受けることになります。そして6年目以降は、3年に1回、提出が必要です。終わりはありません。『猶予』を受ける限り、延々と続くのです。
国の思惑はこうです。事業承継税制を利用してもらい、いずれどこかの時点で確実に、猶予した納税額を確保する。要は出口のない、単なる先延ばしの事業承継対策なのです。このような制度を活用してしまうと、代々に渡って「負の遺産」を残すことになるのです。