日野江都子氏の講話収録物
●天職の見つけ方シリーズ 日野江都子「独力で海外に会社設立の女性起業家CD・MP3」
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- ビジネスを一瞬で制する!一流グローバル経営者は知っている“社長の戦略印象リスクマネジメント”
- vol.1 ”社長の印象”は企業イメージ
長らく連載をお休みさせていただいておりましたが、この度テーマを刷新し、連載を再開いたします。
タイトルは「ビジネスを一瞬で制する! 一流グローバル経営者は知っている 社長の“戦略印象リスクマネジメント”」。
ここ数年は特に、日本から海外進出希望の企業も多く、視察でいらっしゃる経営者の方々とNYでお目にかかり、ビジネスコーディネートやブランディングのアドバイスやサポートをする中で、「あの一瞬の行為が全てを決めた」という場面を多く目の当たりにしています。
それは、一瞬で相手の心をつかんだ、対等な相手と判断された瞬間もありますが、反対に、自ら不要なハードルを作ってしまったり、相手から「全然わかってないな」と思われたり、仕事の話に入る前に共通理解を持った立場として受け入れてもらうチャンスを逸した場面に遭遇した事は数知れず。この一瞬を逃した後者の例が圧倒的に多いのが事実です。
知らずにとったある行為・行動が、イメージを損ね、信頼を失う。そこまでいかない場合でも、かかなくても良い恥をかき、ご自身の気持ちにダメージを与えることは是非避けたいもの。
立場が上になればなるほど、責任の重みが増し、企業に与える影響も増大します。社長という立場であれば、あなたの印象が企業の印象です。
経営判断やトラブルの解決とは違う、社長としてのプレゼンス(外見印象や振る舞いを含む)やコミュニケーションのあり方、ご自身の気持ちのダメージからのリスクコントロールなど、印象のマネジメントとは、「よく見せる」という目的だけでなく、第一印象による、取らなくても良いリスクは取らない、ハードルを作らないということ。いかに確実かつ最速で目的を達成できるかにつながります。
ビジネスにおける社長の印象リスクマネジメントの優先順位一番は、自分の役職・役割、接する相手と状況や場面を踏まえ、ふさわしい振る舞いと装い、コミュニケーションをとること。そう、すべてはその時の自分の立場や仕事の文脈で、です。
こんなことがありました。某日本国関連の方が主催されたレセプションにお招きいただいた時のこと。NYでファッション系のビジネスを経営している方をお連れいただけないかと相談を受け、この方々がいいと思いついた男性経営者をお二人お誘いしました。ドレスコードは、エレガントなビジネスカジュアルと加えて。すると、お二人から参加の意思とともに、まるで同じ質問が届きました。それは「僕は、こういう格好で行こうと思うのだけど、それで大丈夫?」というもの。当日会場に入るまえに偶然遭遇すると「これで大丈夫?誘ってくれたあなたに恥をかかせることはない?」と確認してくださったのです。
これこそ印象のリスクマネジメント。そのリスクとは、自分に対してだけではなく、誘った私に対してもそれを考え、さらにはレセプション主催者立場やの趣旨、そこに参加する人との調和を考慮してくれています。自分がよく見えることはではなく、周りへの「配慮」であることがお分かりいただけるでしょう。
また、友人の経営者に、急な電話で「◯◯さんをご紹介したいと思うのだけれど」と誘った時の話です。その人はその話を断りました。理由は、その準備で家を出てきていない為、その方にお目にかかる格好をしていないし、あなたにも恥をかかせてしまう。この機会を逃すのはとても残念だけれど、準備のできていない自分が無理に会っても、第一印象は良くない。それで二度とチャンスがなくなる方を自分はさけたい。第一印象は2度と作れないから。それに自分自身、恥ずかしい気持ちを持ちつつ会うのも違うと思う。幸運にもご縁があって、次の機会があった、ぜひその時に紹介してほしい、と。そのことを紹介しようと思った相手に伝えたところ「そんな風に考えてくださるとは嬉しいです」とおっしゃり、改めて紹介の場を設けることができました。見事な印象のリスクマネジメントです。
このように「そんなに大事な事だと思わなかった」という事が、実は重要な鍵を握っている事が多いにあるのが、世界標準で通用する社長の印象マネジメント。ご自分の中の基準として持っていることで、さっと使うことができ、初対面の相手から一瞬にして認定と信頼を得ることができます。「あの人はどうしていつもスマートなのだろう?」そういう方を頭に浮かべてみてください。きっとその方々は、ごく自然にご自身(の印象)のリスクマネジメントができているのです。
周りにはなかなか聞くことのできない、社長の印象リスクマネジメント。世界経済の中心であるNYに身を置き、日本人の目線・世界の目線として経営トップのイメージコンサルティングを行う私が、遭遇したケース、そして私自身が若かりし頃、知らずにやってしまった失敗談なども併せ、様々なシーンを例にお伝えしてまいります。
経営者が抱えるべきは、弁護士・医者・イメージコンサルタントと言われます。自分ではできない・わからないことを、社長の立場を理解しつつ冷静に執りおこなうプロフェッショナルだからですね。まずは本連載を社長の印象をマネジメントするバイブルとしてご贔屓に。