さて、今回は「The プレジデンシャル・イメージ A to Z」のC。カラー(collar)=襟について。
ホワイトカラー、ブルーカラーなどというように、職種・労働層を分ける言葉がある位、ビジネスシーンで注目されている「襟」。以前このコラムでも書いたことがあるように、何がなくても抑えておくべき重要なポイントである「元」のつく部分の一つでもあるのが「襟元」だ。その形が発揮する、顔の形さえもキリリと変え、引き締めて見せる驚異の効果や、その人の考えや意識、嗜み、仕事への姿勢の在り様までも明らか現れるその部分には、当然「男の顔つき」に差をつけ、周囲に与える印象さえも確実に左右する力が宿っているのだ。そう分かると、今の自分の「襟元」は大丈夫だろうか?と、鏡を覗き込んでいる方も既にいるのではないだろうか?
【ビジネスの今を表現する、襟選び】
昨今、男性用ドレスシャツの襟の主流になっているのがワイドスプレット。襟の作る三角形の角度が広いタイプである。その角度たるや様々で、さらには襟の長さ、台襟の高さと、選択肢は様々。しかしながら、それだけ選択肢があるのであるからこそ、目的にあった基準をしっかり抑えておきたいのが「装いも仕事のうち」である経営者、ビジネスパーソンのニーズであろう。そこで、ビジネスシーンという舞台を背景に必須条件をあげてみた。
1)着用する人の年齢を問わない、
2)どのような場面にも対応可能、
3)誰に会っても失礼が無い、
4)どのような顔立ちにも比較的合いやすい、
5)きちんと見える
以上5つのポイントを押さえる襟タイプとは?それは「セミワイド」(ワイドスプレットよりも若干、角度が狭くなっている)。
一昔前に基準とされていた「レギュラーカラー」よりも襟の三角部分の角度に開きがあるタイプである。これは、ここ何年もレギュラーカラーに代わり、世界的にビジネスパーソンのスタンダードなシャツの襟タイプとして着用されてきている。
しかしながら、経営者の方のコンサルティングを行っていると気付くのは、未だレギュラーカラーのシャツを着用されている方の少なくないこと。そして、それは決して古いものをお召しになっている訳ではないというのも事実なのだ。その一因は、昔から足を運んでいるであろう御贔屓のお店で、常に同じスタイルの物を仕立て、着続けているからだろうことは想像しやすい。この「安心」は、浦島太郎的な現代の基準を知らずにいるからこそ抱くことのできる感情であることに是非とも気付いていただきたい。
男性のスーツスタイルは、女性のファッションと違い流行による大きな変化はあまり見られない。しかしながらそれは皆無ではなく、常に何らかの変化がなされている。スーツのシルエット、襟の幅や、襟の切り替え位置、尖り方など様々な部分に見られており、それに従って、当然ながらネクタイの幅も太くなったり細くなったりしている。そして、当然それに連動し、バランスの良いVゾーンを作りだす為に、ワイシャツの襟にも変化が出てくることがお分かりいただけるだろう。それにもかかわらず、何故かワイシャツの襟が未だレギュラーカラーのままとなれば、顔周りの印象を左右するVゾーンのバランスはとりにくくなり、襟の形がどうも古臭く目立つ。さらには襟と直結する顔の印象さえも新鮮な雰囲気を失い、経営者・ビジネスパーソンに必要な「常に前進する勢い」を感じさせることができなくなるのだ。
ビジネスシーンの装いは、ファッショナブルである必要はない、しかし、アップデートされている必要は大いにある。それは、流行にのることではなく、今を知り、今を生きている姿勢を見せることに繋がる。ビジネスにおいても、さらなる発展を望むには、今の時代を理解した上で進めなくては、成功は手にできない。ビジネスシーンにおける「いつも(基準)」とは、時代と自分の立ち位置のバランスの上に成り立っている。過去の「いつも(基準)」を現在に当てはめることは、昔のポジションと意識のままで足踏みしている自分の姿を強調する事以外の何物でもないのだ。コンピューターと同じだと考えれば分かりやすいだろう。どんなに遣いやすかったとはいえ、今やビジネスシーンでワープロを遣っている人は皆無と言っても間違いではない。何故なら今のビジネスシーンでは用が足さない。その上、コンピューターも日進月歩、どんどんアップデートされ、新たなソフトをインストールし、機能・性能共にアップさせつつ、ビジネスをより加速させていく。ビジネスシーンおいて装いは大切なビジネスツールであり、その人の意思表示。であれば、時代と自分の軸を微調整し、今の御自身の顔を載せるに相応しい土台となる「襟」について、この機会に是非見直し、御自身のビジネスの今を、自信を持ってイメージで語り、意思表示していただきたいと切に願います。
次回は、「カラー/襟元が決める男の顔つき-その2」、襟元選びで顔立ちを引き締めるには?他に続きます。