中国共産党第18期中央委員会第三回全体会議(以下、三中全会と略称)は11月12日に幕を閉じた。閉幕の日の夜、「三中全会」のコミュニケが発表されたが、翌13日の上海株価指数は波乱な展開となり、下げ幅が1.8%と急落した。コミュニケの内容は、国家安全委員会の設立など政治的保守志向が強く、経済改革についても抽象的な表述にとどまり、具体性が欠如すると市場に受け止められ、投資者たちは失望感を隠さなかったのである。
ところが、その後、「改革の全面的深化における若干の重大な問題に関する中共中央の決定」の全文が発表されると、市場は失望から期待に一転し、上海株価綜合指数が急騰し、3営業日だけで4.4%も上昇している。マーケットは三中全会の「決定」を、「具体性に富む」、「30年ぶりの大改革」とポジティプに受け止め、大いに歓迎したからである。
なぜ市場は失望から期待に転じたか? 三中全会の改革に関する決定は一体どんな具体的な内容が含まれるか? 日本企業と密接な関わりがあり、ビジネスチャンスに直結する内容は何か? 本稿は日本経済界の高い関心に応え、具体的に解説する。
三中全会の決定は16分野に及び、合計60項目の改革案が示された。いわゆる習近平体制の国民へのマニフェストとも言える。これらの改革案は抽象的なものではなく、非常に具体的で、しかも多くの内容は国民生活と直接にかかわるものである。 そのうち、日本企業と関係がある改革案の内容は次の10項目である。
(2)国有独占分野の改革
(3)民間資本の市場参入
(4)企業登録制度の改革
(5)農村土地の市場化
(6)金融改革
(7)都市戸籍制度の改革
(8)自由貿易区の設置
(9)格差是正、分配改革
(10)「一人子政策」の見直し
三中全会の改革深化に関する決定には多くのビジネスチャンスが内包されているため、いま中国では企業経営者向け関連セミナーは人気であり、1万元(16万円相当)の入場券が売り切れるセミナーが続出している。日本企業も新たなビジネスチャンスを見逃さないように積極的に対応しなければならない。