さて、今回はフェーズ4「 設計事務所、建設会社、売主 」の第四の項目『 工法指定、メーカー指定や代理店指定の設計事務所やゼネコンとは付き合わない方が良い。』のお話を致します。
第27回はフェーズ4の「 設計事務所、建設会社、売主 」の第三の項目で『 用地持込や用地紹介を営業の柱としている設計事務所では売れる物件はできない。 』でした。
今回の第28回も第24回、第25回、第26回、第27回の内容に更に設計事務所やゼネコン選定基準の重要さの御説明を致します。
毎回申し上げていますが、多くのディベロッパーの方々は、設計事務所やゼネコンの選定を上司や用地取得部署からの申し送りや、しがらみで決めております。特に用地取得担当部署はその傾向が顕著で、新規の設計事務所やゼネコンとの付き合いを避ける傾向が多いのです。用地部署がらみの設計事務所やゼネコンとだけ付き合っていましたら、何の進歩もなくそのディベロッパーは「負け組」になる可能性が大です。
そこで、今回も設計事務所やゼネコンの選定に関してのアドヴァイスとして『 工法指定、メーカー指定や代理店指定の設計事務所やゼネコンとは付き合わない方が良い。 』のお話を致します。
マンション建設の設計事務所やゼネコンの中には工法指定、メーカー指定や代理店指定をする会社が有ります。その様な会社は特殊工法の指定、サッシュ、キッチンやユニットバス等のメーカー指定や建築部材の代理店指定をする事がありますので気をつけて下さい。
戸建( 建売 )の場合は建設会社や工務店の中には、国土交通省の認定を受けた特殊工法を採用したいと言ってきますが、事業主サイドの技術屋さんに良く検討させてメリット有りでしたら、その会社に建築工事を依頼しても良いと思いますが、稀です。万が一、工事中にその会社が「倒産致しましたら、特殊工法ゆえに引き継げる建設会社が無いのです。近年戸建の工務店等がかなり経営がきびしいので、選定には充分調査が必要です。
さて、マンションに戻り、設計事務所やゼネコンの選定の諸注意を申し上げます。
今回のタイトルである『 工法指定、メーカー指定や代理店指定の設計事務所やゼネコンとは付き合わない方が良い。 』理由を更に詳しく御説明致します。
まず、設計事務所が工法指定をする事は稀有ですが、構造関係での基礎・杭の特殊工法を指定してくる場合が有ります。その場合は設計事務所の構造担当者を呼んで、通常工法の基礎・杭と特殊工法の基礎・杭との違いやメリット、ディメリットの説明を受けて下さい。
私の経験では特殊な基礎や杭工法を採用しましても、工事費用が高いだけで、メリットは全くと言っていいほど有りませんでした。以前あるディベロッパーで設計コンサルタントをしていた時にA設計事務所が特殊な基礎や杭工法を採用したいと申し出てきましたので、検討しました処、何のメリットもなく、ディメリットはその特殊な基礎・杭工法を工事できる建設業者が決まってしまい、価格の競争ができないのです。私はディベロッパーの方と一緒に、その特殊な基礎・杭工法を工事できる建設業者をディベロッパーに呼び、A設計事務所が何故、貴社の工法を推薦したのかを問い質しました。結論はキックバック( リベート )のタカリでした。その後A設計事務所はそのディベロッパーへは出入り禁止になりました。
設計事務所がメーカー指定や建築部材の代理店指定をする理由は上記内容とほとんど同じですので、ディベロッパーの技術屋さんは良く図面をチェックして下さい。大抵、設計図書の建築図、構造図、電気設備図、給排水衛生設備図や空調換気設備図の中の「 特記仕様書 」に書き込んでいます。「 特記仕様書 」にメーカー名や代理店名が書き込まれていましたら設計事務所の担当者を呼んで理由を聞く事が大切です。リーズナブルな理由やメリットが無い場合は、その文字を消してもらう事です。