今回はフェーズ8の「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』4項目の中の最後の第4項目である『 モデルルームやモデルハウス完成直後に「 検討会 」を行い是正修正工事終了後に、オープンする事。 』に関してのお話を致します。
前回はフェーズ8「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』4項目の3番目に大切なポイント、『 戸建のモデルハウスは参考です…程度にする事。 』のお話を致しました。「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』で3番目に重要なのは『 戸建のモデルハウスは参考です…程度にする事。 』です。
前回のおさらいを致しますと「 モノづくり 」の重要な事は「 分譲戸建団地 」や「 ハウジングパーク 」に参りますと、常に一番良い住戸をモデルハウスとして1棟のみ建ててオープンハウスとして、来訪者に見せています。大切なのはその一番良いモデルハウス以外に標準プランで標準仕様のモデルハウスを見せるべきという事が大切なのです。一番良いモデルハウスはかなり工事費が高く、販売価格も高いので、購入できない方には「 参考程度に御覧下さい。 」と言って、標準プランで標準仕様のモデルハウスの良さを説明されると、販売員及び売主の信用は一気に高まりますというお話を致しました。
さて、前回と同様に今回も建築家の私が最も得意とする「 モノづくり 」の「 こだわり 」についてのお話を致します。
このコラムで、いつも申し上げていますが、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとってはこれから分譲予定物件の「 モノづくり 」はとても重要で良い商品を作り続けますと売主の会社の信用も高まり不動産業界で有名な「 ブランド 」にもなってきます。
ですので、今回のタイトルは「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』の4項目の最後の第4項目である『 モデルルームやモデルハウス完成直後に「 検討会 」を行い是正修正工事終了後に、オープンする事。 』と致し、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーが新規分譲マンションの販売前にすべき事の注意点を申し上げます。
今回も私が手がけました今迄の新規分譲マンションや建売戸建等の設計業務の経験に基づいた大切なお話です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々に『 モデルルームやモデルハウス完成直後に「 検討会 」を行い是正修正工事終了後に、オープンする事。 』
の重要さを具体的に御説明させて戴きます。
毎回、申し上げていますが、私は2000年に体調を崩し「 東急設計コンサルタント 」の設計部長を辞し退職致しました。そして、2002年に「 碓井建築オフィス 」を設立し、現在までに十数社の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンション、建売戸建や戸建団地等の商品企画のコンサルティングや設計監修を数多く行っています。また、購入者向けに「 購入相談 」「現地同行チェック」や「 内覧会同行チェック 」も行っていますので購入予定者や購入者の生の声を沢山聞いており、このコラムに反映させております。
これらの業務や経験を踏まえて、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの商品企画部門のメンバーの方々に申し上げたいのは、今回もこれから販売する商品にかかわる重要な事柄です。商品企画部門のメンバーの方々のみでなく販売担当の方々にも是非御読み戴き、モデルルームの「 検討会 」に参加し意見交換をして戴く大切な内容だと言う事です。
今回の「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』の4項目の中の、最後の第4項目である『 モデルルームやモデルハウス完成直後に「 検討会 」を行い是正修正工事終了後に、オープンする事。 』は非常に大切で何度も申し上げますが、会社の信用を上げる事に貢献すると思います。
私がモデルルームやモデルハウスを個人見学や「 現地同行チェック 」で購入予定者と行きますと、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの物件に於いては、顧客に対する配慮が欠けた物件がかなり見受けられます。私はモデルルームやモデルハウスの竣工後に、売主の社員、販売会社の販売担当者や設計者及び建設会社が顧客の立場に立って「 検討会 」を行なったのか否かを疑問視してしまう事が多々生じています。
更に「 内覧会同行チェック 」を依頼されて、検査致しますとモデルルームと異なる住戸タイプは特に検討不足箇所が多く、是正修正事項がかなり多く出てきます。
その様な事にならない為にも、本来「 モデルルーム 」にて「 検討会 」で絶対にチェックして戴きたい項目は10項目有ります。今回は紙面の都合も有り最低限チェックして戴きたい3項目を御説明致します。
まず、一番目の検討不足箇所は、キッチンの水栓( カラン )の首振り角度です。キッチンセットのシンクの前に立ち、カランの首を左右目一杯に動かします。そしてカランの首下の吐水口がシンクの両端より外へ出ているケースです。この様にカランの首下吐水口がシンクより外に出てしまいますと、これはとても危険です。水を出している時に何かの拍子で、カランの首がシンク外へ出てしまいますと、まずキッチンカウンターが水浸しになり、更にその水が床に垂れて、床が水浸しになってしまいます。最悪の場合は下階住戸にまで水漏れを起こしかねません。この様なケースの場合はカラン内の首振り角度調整器を交換しなければほとんど治りません。
二番目の検討不足箇所は、住戸内分電盤内のブレーカーの高さが女性( 主婦 )の手が届く高さになっているか否かです。
近年、夏の気温が高くなってきていますので、例えば住戸でリビング・ダイニングと洋室2室のエアコン3台を同時運転致しますと、場合に依っては受電している契約電気容量をオーバーしてブレーカーが落ちてしまう事が生じてしまいます。夜、御主人様が未だ帰宅していない前にブレーカーが落ちますと、住戸内が真っ暗になり奥様はパニック状態になる可能性が大きいそうです。理由はブレーカーが落ち、直ぐに分電盤の所に行っても、ブレーカーのレバーの高さが高く手が届かないからだそうです。これでは入居者の奥様は可哀相ですし、売主に不信感を懐きます。
三番目の検討不足箇所は、住戸内洗濯機置き場の位置の明るさが充分か否かのチェックです。
具体的に申し上げますと、洗濯機置き場の前に洗濯機側に向いて立ち、そこに洗濯機が有ると想定致しまして、床から約1メートル10センチ弱の高さの位置に手をかざして手元が暗くなっていないかを確認を致します。マンションの場合はほとんど暗いのです。この暗い場合は自分の影ですので照明器具位置が適切では無いので要検討です。この約1メートル10センチ弱の高さは洗濯機上端の高さです。内訳は、防水パン高さプラス洗濯機高さの合計です。この位置が暗いですと、洗濯機上蓋を開けて中を覗きますと、洗濯機の中はもっと暗くなる可能性が大きいのです。そして、洗濯機置き場のある、洗面脱衣室の照明器具の高さは、床から約2メートル20センチ前後の天井に設置されています。
この様な場合はその照明器具の設置位置の修正か照明器具の増設です。増設の場合の位置は洗濯機用の防水パンの周囲に有る高さ約5センチ程度の立ち上がり部分の手前部分センター付近の真上に照明器具を設置するのが、正解です。
この事をモデルルームのオープン前に検証しておきませんと、売主の信用失墜につながりかねません。
以上がモデルルームやモデルハウス竣工後の「 検討会 」で最低限チェックして戴きたい3項目です。
尚、 10項目全てをお知りになりたい方は、今年( 2013年 )3月に「 日本実業出版社 」より上梓致しました私の本『建築・設計のプロが教える 「良識あるマンション」の見分け方・選び方 』の74ページを御覧下さい。
何回も申し上げますが、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーのほとんどの会社はそこまでの気遣いが無いので、この様に致しますと同業他社との差別化が図れますし、売主の信用が増し、良い「 ブランド 」が形成されていくと思います。
不動産事業で一番大切なのは売主の信用です。信用を落とすのは一瞬ですが、再度築くには最低10年はかかります。この事は肝に銘じて下さい。
次回は今回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」第2項目の『 安心・安全 』4項目の第1項目である『 マンションは戸建に比べてセキュリティーが良い。 』に関してのお話を致します。
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
以上。