前々回は、中堅ディベロッパーがブランド力のある大手ディベロッパーに負けない様にするにはどの様にしたら勝てるかのお話を致しました。
そして、前回は「 専門特化して会社の特徴を出す事 」で中堅ディベロッパーは大手ディベロッパーと対峙すべきだと提言致しました。
今回も前回に続き、中堅ディベロッパーがブランド力のある大手ディベロッパーに負けない様にするには更にどの様にしたら勝てるかのお話を致します。
特に最近、マンションは立地が全てとも言われていますので、まずは用地情報屋や用地持ち込みの設計事務所や用地持ち込みの建設会社の過去の実績を販売部門と一緒に厳しく精査し、これらの会社を選別する事です。
さて、現在売れていないマンションの共通点は交通利便性が悪い場所に建っている事です。一番顕著に完成在庫住戸が残っているマンションは最寄駅から徒歩10分以上の立地か、最寄駅からバス利用でしか到達できない立地の物件です。
大手ディベロッパーはこの事には最近とても敏感で最寄駅から徒歩10分未満の用地にマンションを建てて分譲しています。ですので、大手ディベロッパーの物件はこのところ非常に売れ行きが良いのです。
中堅ディベロッパーはその様な良い土地の情報がなかなか入って来ませんので、今まで付き合っていた用地情報屋が持ってくる最寄駅から徒歩10分超えの用地を無理して購入しマンションを分譲し、売れ行きが悪く完成在庫の山となっているのです。
中堅ディベロッパーには、中途入社の社員が多くその中には元大手ディベロッパーの社員が1人や2人は必ず居ます。その社員を呼び、大手ディベロッパーが仕入れていた用地屋や用地情報屋を聞いてみましょう。
もし、その様な社員が居なければ社長や役員が不動産業界の色々な会合に積極的に出席して大手ディベロッパーの社員と仲良くなり、良い用地をもってくる用地情報屋を紹介してもらうのです。これは簡単には行きませんが、あの手この手で情報収集をすることも大切です。
あと、良い用地情報を持っているのは銀行の各支店の外回りの銀行員です。特に良い沿線のブランド駅の周囲には大手都市銀行の支店が有ります。これら大手都市銀行支店の外回りの営業担当の銀行員は自分のテリトリーの地域情報は沢山持っています。ちなみに以前、ご縁をいただいた銀行員も話し好きで、色々な情報を教えてくれました。たとえば、ある会社の社長のAさんは最近かなり金策に苦労しているので豪邸を売るらしい…とかをここだけの話しとして教えてくれます。当然、Aさんの会社が工場を持っていましたら近々売りに出ることもあるでしょう。
この方法について、私が昔、ある中堅ディベロッパーの社長に話しをしましたら早速実行し、目ぼしい沿線駅前の銀行の外回りの銀行員から情報収集し、現在は準大手ディベロッパーに並ぶ勢いです。
また、中堅ディベロッパーに出入している設計事務所の多くはマンション用地持込で設計・監理の仕事を受注していることが多いのです。この様な設計事務所の設計したマンションのプランは際立った特徴が少なく売れ残り住戸も多い傾向になります。
同じくマンション用地持込で設計と建築工事を受注しているゼネコンも見受けますが、こういうゼネコンが建てたマンションの「 コンセプト 」は「 如何に工事費を安くするか 」という傾向があります。また、中堅ディベロッパーの建築担当者が判らない所で工事費を削ることも見受けられます。その結果、竣工後にクレームにつながることもあるのです。
今まで申し上げたような、設計事務所やゼネコンとはなるべく付き合わず、当初述べた様に良いマンション用地を紹介してくれる会社を3社~5社位見つけて大事に付き合うのが良いと思います。
良いマンション用地が入手できれば、良いマンションを設計している設計事務所に仕事を依頼できます。特に現在、大手、準大手設計事務所は受注が減っていますので、中堅ディベロッパーの設計・監理依頼にも快く請けてくれるはずです。
そして、ゼネコンの選択も良い設計事務所の図面を元に「 入札制 」にしてフリーになり良い工事が期待できます。
一度、大手設計事務所やスーパーゼネコンと仕事を致しますと、中堅ディベロッパーは価値観が変り、更に社員の士気も向上致します。
中堅ディベロッパーの方々、試してみては如何ですか…?
以上