はじめに
今や録音と言えばICレコーダーが主流です。テープレコーダーに比べて小型な上に、カセットを交換する事無く数百時間もの録音が可能といった特徴があり、用途や利用者が広がっています。例えば、移動途中に浮かんだアイデアも、ICレコーダーで「ボイスメモ」として残せばスマートですね。
また最近では、半導体メモリの大容量化と低価格化の恩恵を受け、音楽CDよりも高音質で録音できる「リニアPCMレコーダー」と呼ばれる製品も増えました。仕事だけでなく、音楽演奏などを楽しむ方にとっても欠かせない機器となりつつあります。
そこで今回は、ICレコーダーの種類と選び方を、そして、次回の後編では、様々なシチュエーションで、良い音、良い状態で録音するためのヒントやテクニックをご紹介します。
種類と選び方
ICレコーダーの価格を見ると、数千円から数万円と少なくない開きがあります。この違いはいったい何でしょうか? 価格の違いは主に音質の違いです。高価な製品はCDを超える音質で録音ができ、音楽制作にも利用できます。中には、音色をよりリアルに捉える高性能マイクを搭載し、数十万円と高価な製品もありますが、マニアを中心に人気です。
一方、取材や会議のメモ、楽器や語学学習などのお稽古用なら、数千円の製品でも充分な音声品質で録音できます。殆どの製品は、スピーカーを内蔵し、本体だけで録音を聞く事ができるので便利です。入門者用の低価格モデルは機能がシンプルで使い易いケースも多いので、「高価格製品=優れている」と考えず、用途に合わせた製品選びが大切です。
では、用途別に便利な機能とおすすめの製品をご紹介しましょう。
■ 用途1: 重要な会議を確実に録音
会議や講演会など、発言者の文言を確実に捉えるなら、遠くても近くても”声”をクリアに拾えるマイクの性能や機能、周囲の雑音を低減してくれる機能などが重要です。
オリンパス ボイストレック DS-800 (市場価格:17,000円前後)
http://olympus-imaging.jp/product/audio/ds800/index.html
高性能マイクと録音品質に定評あり。指向性を高め、遠方での発言を狙って録音する機能、再生時に周囲の雑音を低減し、発言を聴き取り易くする機能など、会議や講演の録音で役立つ機能が充実しています。
■ 用途2: ラジオ録音・語学学習
ラジオチューナーを内蔵し、語学番組を予約録音できる機能や、ゆっくり再生してくれる「遅聞き」機能があると、語学学習に便利です。
パナソニック RR-RS150 (市場価格: 14,000円前後)
http://panasonic.jp/icrec/rs150/index.html
AM/FMラジオチューナーを内蔵し、語学番組の録音や再生が手軽に行えます。「遅聞き」機能で聞き取れない部分の確認、もう一度聞きたい時に便利な「少し戻る」機能、「A-Bリピート」で反復など、語学学習に役立つ機能も豊富です。
スピーカークレードルが付属しているので、大きな音での再生も簡単。パソコンを利用せず、ICレコーダー単体で再生したいユーザーに向いています。
■ 用途3: 手軽にボイスメモ
いつでもどこでも、浮かんだアイデアをメモするなら、機能がシンプルで使い勝手も価格も手軽な製品がおすすめです。
ソニー ICD-UX523 (市場価格: 7,000円前後)
http://www.sony.jp/ic-recorder/products/ICD-UX523/
本体にUSB端子を内蔵し、パソコンに直接接続して録音データの転送や充電が行えます。「会議」、「ボイスメモ」、「インタビュー」、「おけいこ」など、シーンを選ぶだけで録音モードやマイク感度などの設定を最適化してくれるので、機械が苦手な方も使いこなせるでしょう。本体にスピーカーを内蔵し、録音した音声を手軽に確認できます。
■ 用途4: とにかく高音質で録音したい
楽器、鳥の鳴き声、鉄道の走行音など、趣味の録音をとにかく高音質で行いたいなら、CDの音質を超える96kHz/24bit以上の高密度で録音できるリニアPCMレコーダーがお勧めです。音質にはマイクの性能も大きく影響するので、録音品質を追求するとどうしても高価になりがちですが、カメラで風景を撮るように、リニアPCMレコーダーで音を録るマニアも増えています。
会議も、こんなレコーダーで録音すると、新たな発見があるかもしれません。
TASCAM DR-100MKII (市場価格: 33,000円前後)
http://tascam.jp/product/dr-100mkii/
業務用機器で実績のあるTASCAMブランド。機能と使い勝手の両面でミュージシャンの支持を得ている本格派です。リモコンが付属し、離れた場所から遠隔操作で録音可能。本体を最適なポジションに設置して録音したり、本体ボタンを押し下げるような操作音を録音してしまわない等のメリットも。
さいごに
今回は用途別に適した機能やおすすめの製品をご紹介しました。しかし、カメラの撮影が腕次第なように、レコーダーでの録音も基礎知識やノウハウがあると、失敗を減らし、より良い状態で安定した録音ができます。
次回の後編では、会議を録音する、講演を録音する、電話での通話内容を録音するなど、様々なシチュエーションで、良い音、良い状態で録音するためのヒントやテクニックをご紹介しますのでお楽しみに。