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第28回 奥鬼怒温泉郷(栃木県) 紅葉シーズンに訪れたい関東最後の「秘湯」

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

 ■「秘湯」はもはや絶滅寸前!?
 温泉好きは「秘湯」という言葉に弱い。だが、そもそも「秘湯」とは何だろうか。一般的に考えれば、ひとつは「人に教えたくない秘密の温泉」という意味だろう。しかし、これだけ情報が発達している社会だと、「秘密」にするのは至難の業。魅力的な温泉はすぐに人に知られてしまう。
 
 実際に、雑誌などで紹介される「秘湯」の宿の中には、観光客が団体で押し寄せるところも少なくない。そんな宿を訪れると、「秘湯」という言葉に違和感を覚えてしまう。
 
 もうひとつの「秘湯」の意味は、「交通の便が悪いところに位置する温泉」ということになるだろう。山奥など車では到達できない場所にある温泉であれば、必然的に訪れる入浴客は少なくなる。たとえば、富山県の黒部川源流にある「高天原(たかまがはら)温泉」は、日本一遠い温泉といわれる。どの登山ルートを選んでも、山小屋で1泊しないとたどり着けない。秘湯中の秘湯といえるだろう。
 
 こうして考えると、本来の意味での「秘湯」を訪ねるのは、ハードルが高い行為だ。誰も知らない野湯を見つけたり、本格的な登山をしたりしないと入浴できないのだから。
 
「そんなの無理!」という人には、「プチ秘湯」がおすすめ。「関東最後の秘湯」といわれる奥鬼怒温泉郷だ。栃木県・鬼怒川の源流付近にある山中の温泉で、4つの一軒宿が点在する。今回は比較的、初心者でも訪れやすい八丁の湯と加仁湯(かにゆ)を紹介しよう。
 
 ■滝見露天が名物の「八丁の湯
 奥鬼怒温泉郷までのアクセスは、女夫渕(めおとぶち)温泉までは車で行けるが、そこから先は山道を1時間超歩かなければならない(最も遠い手白澤温泉までは2時間!)。車が通れる林道は通っているが、国立公園内にあるので一般車は通行できないのだ。
 
 鬼怒川の急流に沿って歩くルートは平たんで歩きやすい。ただ、私のように運動不足だと、すぐに息が切れるかもしれない。それでも、大自然の中を歩くのは気分がいい。突然大きな滝が現れたり、ニホンザルの群れが目の前を走り去ったりしていく。ここは本当に関東地方なのだろうか、と思うほどの山奥である。紅葉シーズンであれば、赤や黄など色彩豊かな木々が美しい。
 
 ちょうど1時間ほどで、いちばん手前にある八丁の湯に到着。秘境とは思えないほど立派なログハウスの宿泊棟が並んでいて、少し拍子抜けしたが、温泉はまさに「野趣あふれる」という表現がぴったり。
 
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 露天風呂では、岩肌を流れ落ちる滝を見ながら湯浴みを楽しめる。なかでも、滝を真横の至近距離から望める「石楠花の湯」は迫力満点。マイナスイオンを浴びまくりである。山道でへとへとになった体も生き返る。透明な湯は、源泉かけ流し。とてもやわらかい肌触りだが、硫黄臭や白い湯の花も確認でき、湯の個性も際立っている。
 
 ■5つの自家源泉をもつ「加仁湯」
 八丁の湯からさらに10分ほど歩いたところにあるのが加仁湯。こちらも立派な構えの宿で、建物だけを見れば秘湯の宿という雰囲気ではないが、温泉は名湯の名にふさわしい。こちらは、青みがかった乳白色の濁り湯が特徴。
 
 硫黄の香りも強烈で、温泉らしい温泉である。特徴の異なる源泉が5つもあり、入り比べるのも楽しい。また、混浴の露天風呂からは、白糸のような滝や柱状節理の岩肌を眺めることができる。
 
 なお、八丁の湯と加仁湯については、宿泊者は女夫渕の駐車場からバスでの送迎が行われている(八丁の湯は「日帰り入浴パック」を予約した利用者にかぎり日帰りでも送迎が行われている)。
 
 送迎バスを利用すれば難なく宿までたどりつけるが、プチ秘湯気分に浸りたければ、徒歩でのアクセスがおすすめだ。特に紅葉が美しい今の季節は、ゆっくり散策するのもいいだろう。汗を流したあとの温泉は、気持ちよさも倍増するはずだ。

第27回 温泉津温泉(島根県) 開湯1300年の名泉は「アツ湯」の最高峰前のページ

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