◆関口善大靴工房◆ 技術の会得法を売る |
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関口さん自身がデザインした靴の数々。ユニークなデザインが多いが、すべて歩き易さと履き易さを重視している
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社会が成熟すると共に、手作りの良さを残した商品に対するニーズが高まっている。 家具や洋服、靴、鞄などで、大量生産品にはない品質の高さと味わいが評価されているからだ。 若い世代を中心に、"職人"に憧れる人が増えていることも、こうした流れの一つだろう。 とはいえ、人件費の高い日本で商品を手作りすれば、当然高額になってしまう。 せっかく職人を目指しても、それだけを生業とするのは容易ではないわけだ。 そんな中、靴職人・関口善大さんは、昨年25歳の若さで、 自らの工房『関口善大靴工房』を東京・三軒茶屋に立ち上げ、人気を博している。 個人客からのオーダメイド靴の製造・販売だけではなく、業務の大きな柱となっているのが「靴作り教室」だ。 現在、月数足のオーダーメイド靴を手がける傍 ら、主婦や学生などを中心に、 常時20人の生徒に靴作りを教えている。 靴作り教室が、不安定なオーダー靴の売上げを補完する、安定収入として機能しているわけだ。 関口さんは大学卒業後、専門学校で靴作りを学んだ、いまの若手職人の典型例だ。 靴メーカーで企画デザインなども手がけた後、本格的に独立。 師匠から「靴職人として独立するのは至難の業だ」と教えられていたため、 当初から独立したら教室を開くことを念頭に置いていたという。 靴作り教室は1日3時間で月4回、月謝は1万円(入会金2万円・材料費別)。 素人には難しい型紙づくりは関口さんが手がけるため、入学すれば誰しも気軽に靴職人気分が味わえる。 そのうえ自分の好みと足型にあった理想の靴も手に入れられる。 職人までいかなくとも「手作りを楽しみたい」という人は多いものだ。 「手作り商品」の需要だけではなく、そんな「手作りを楽しみたい」という経験に対しての 需要をすくったことが、『関口善大靴工房』の勝因となった。 職人が生き残るためには、こうした「技術の会得法を売る」というスタイルは、一つの参考になるだろう。 製造業に限らずとも「職人ワザ」は多々ある。 クリーニング店のアイロンがけ、喫茶店のコーヒー焙煎法、自動車やバイクの整備……。 これらを教室として展開すれば、「手作り」や「手作業」に憧れる別のニーズを掘り起こし、 厳しい状況を打破するチャンスが生まれるかもしれない。 (カデナクリエイト/箱田高樹) ◆社長の繁盛トレンドデータ◆ 『関口善大靴工房』 住所 東京都世田谷区若林1-31-3 TEL 03-3487-2430 最寄駅 東急世田谷線若林駅徒歩3分 http://zendai.jp/ |