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第54回(商品選びを手助けする仕組みをつくる「野菜ソムリエの店 エフ」)

「社長の繁盛トレンド通信」

◆野菜ソムリエの店 エフ◆ 


「商品選びを手助けする仕組みをつくる

 

生活者とコミュニケーションをはかるために、収穫に合わせて定期的に生産者が自らやってきて野菜を販売する

カントリー感覚の洒落た店舗
   
 

店内の黒板には、おすすめ野菜の説明が書いてある。
野菜の情報がわかると食べたくなる

店の前に並べられたおいしそうな野菜と
生産者のプロフィールが、道行く人の目をひく。

   
用賀店店長で野菜ソムリエの吉田敦さん。
野菜販売のキャリアは10年以上。スカーフは野菜ソムリエの印
 


グローバル化、アウトソーシングをはじめ、社会は複雑になる一方だ。
それにともなって、小売店に求められる情報は高度化していくだろう。
そうした予兆を感じさせる小売店の一つが、東京の用賀と雪谷に展開する
野菜の販売店『野菜ソムリエの店エフ』だ。

『野菜ソムリエの店 エフ』の最大の特徴は、店舗スタッフ自ら、
仕入先の生産者を探してくることだ。

スタッフが探すのは基本的に近郊の生産者。
野菜は新鮮であればあるほどおいしいし、輸送費も節約できるからだ。
遠隔地でしか作っていない野菜でも、首都圏 で栽培可能であれば、
近郊の生産者に栽培を依頼することもある。
一部の野菜については、毎朝スタッフが畑まで出かけていき、
自分達で収穫し、店まで運んでくるという。

もちろん、無農薬や低農薬農法など、安全性に配慮していることは大前提。
その上で味もチェックする。

仕入れから関わることで、スタッフの野菜に対する思い入れや知識は深くなるし、
話したいことはいくらでもでてくる。
だから、「今日のおすすめ」から、「新鮮な野菜の見分け方」「料理のヒント」
「栄養のこと」…。お客の質問に対して、スタッフは惜しみなく知識を披露するわけだ。

このような細やかな接客を通じて、店のスタッフとお客は非常に親しくなる。
親しくなれば、お客は、「もう少し甘みが欲しい」「もっとみずみずしい方がいい」
といった野菜に関する様々な意見を言うようになる。
そうした意見は、スタッフを通じて生産者にフィードバックされる。
つまり、同店は生産者のマーケ ティングの場にもなっているわけだ。

また、顧客に対して、「農業体験」「野菜の食べ比べ」「野菜料理」など、
様々なテーマで、生産者を訪ねるツアーも彼らのスケジュールに合わせて開催している。
お客自身が直接生産者を訪ねることで、「安全性」「味と自然」など
様々な観点から野菜について考えるようになる。
生産者は生活者(エンド・ユーザー)と直接話すことでモチベーションが上がるわけだ。

このように同店は、生活者と生産者をつなぐコミュニティの場にもなっている。

同店を運営しているのは、フードディスカバリー株式会社。
野菜の基礎知識から、生産、流通、料理など多岐にわたる知識を持つ野菜の専門家
「野菜ソムリエ(正式名称はベジタブル&フルーツマイスター)」の講座開講と
資格認定をしていることで有名だ。
野菜ソムリエは、難易度に応じてジュニアマイスターからシニアマイスターまで
3段階の資格がある。

同店は、一種のアンテナショップであり、店舗には野菜ソムリエが常駐している。
だから、生産者の選定までできるわけだ。同店の野菜ソムリエに刺激を受けて、
資格認定にチャレンジする生活者や生産者も少なくないという。

現在は、社会が複雑になったことに加えて、
良い商品の基準に「安全」「環境」「健康」といった目に見えないものが加わってきた。
このような時代は、生活者 の商品選びを手助けできる教育システムを
小売店に組み込むことが、一層、重要になる。
同店のやり方は、全ての店にとっても参考になるはずだ。
(カデナクリエイト/竹内三保子)


◆社長の繁盛トレンドデータ◆
『野菜ソムリエの店 エフ』
http://www.efagri.co.jp/index.html

●用賀店
 
東京都世田谷区用賀4-16-1

TEL:03-3708-4600

営業時間:10:00~20:00


●雪谷店

 東京都大田区南雪谷2-10-1

TEL:03-3868-0831

営業時間:10:00~20:00

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