今回は、街で見つけた「餃子の分かりやすい看板」を写真におさめてきました。
さて、2話前の208話において、食品Y社では、電気をまずすべて消してから徐々に点けていって、可能な節電ポイントを探る改善をしたとの事例をお伝えしました。
そして、このコラムを読んだ計測器メーカーのK社では、私が伺った改善日に社員全員が集まった講堂で、素晴らしい実験が行われました。
事務局の方が講堂の窓を開けた上ですべての電気を消し、次にいろいろな部分の電気を点けたり消したりして、場所によって同じ光量でも明るさの感じがずいぶんと違うことや、自然光だけでもかなり明るいことなどを、全員で同時に実感したのです。
実験終了後、全参加者に対して自分の仕事場でも必ず実験し、適正な点灯量を決めるという指示が出されましたが、多分皆さんが実行されたのではないかと思います。
この話の面白いところは、全員参加での実験です。実際には事務局の方がほんの数分を使っただけなのですが、言葉での説明でなく実際にやって見せることで、参加者の納得のレベルが上がり、その結果、みんな節電を実行するだろうと思いました。
なぜなら、みんなが実際に実験に参加して肌で感じることで、共通の実感を持ったからです。どこでも節電の「お達し」は出ていますが、このような形でみんなを引き込む工夫をすると、更に良い結果が期待されると感じました。
208話で節電の話をしたところ、多くの方からアイデアのフィードバックを頂き、やれば効果が上がりそうな改善がたくさんあることが分かって来ました。
そこで、このシリーズの最後として、私の指導先の数社で行っている大きな効果が期待できる節電改善をご紹介いたします。それはスペースの見直しです。
方法はいろいろあると思うのですが、ここで大切なのは、それぞれの場所でちょっとずつ場所を空けるといった普通のスペース改善ではなく、ワンフロアー全部とか、工場の一ブロックすべてといった“ドッカーン!!”という感じの、でかくて分かりやすい目標を立てることです。
管理部門をすべて一か所に集結するとか、工場レイアウトをギリギリまで間締めしたり、工程を徹底的に連結するようなことを実行します。
もしこれができると、当然空いたその場所には人が居ませんから、電気も冷房も不要です。節電効果は最高です。「人が居ないところは、照らさない・冷やさない」ということです。
しかし、ここから得られる成果は節電だけではありません。会社が将来に向かって生き残り勝ち進む時、必ずそのためのスペースが必要になりますから、その時のためのポテンシャルを、今のこの機会を使って作り上げようという、実に前向きな戦略であり戦術であるということです。
実際に現場改善をしていてしばしば思うのですが、各工程の担当の方々はスペースに対してあまり強いニーズを感じていないようです。
確かに、今でも生産ができているのですから、改めてもっと広い場所が必要かというとそうでもないかもしれません。だから、せっかく5S活動などで場所が空いてもすぐに何か物が置かれてしまって、ふさがれてしまうということがよくあるのでしょう。
しかし、その「現在の生産に必要な面積」という考え方を少し広げて、「将来の経営に必要な面積」と考えるようにしてはいかがでしょうか?
「ピンチはチャンス」という言葉は、ピンチの時こそ「これまで後回しにしてきたことを実現できる唯一の時」だと考えることができる人にのみ当てはまる言葉です。すべての人にとってチャンスなのではありません。
しかし、やはりピンチはチャンスです。思い切った目標を作ってみんなで知恵と筋肉を使って、将来に向かって大きな改善を実行しましょう。
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