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<事例―18 サントリーの「角ハイボール」(B2C)>20年以上衰退していたウイスキー市場と商品ブランドを活性化させた…それがサントリーの角ハイボールだ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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●市場とブランドが衰退するには訳がある
 
 日本のウイスキー市場は1983年にピークを迎えた後に、需要は急速に減少していく。その大きな原因は、「愛飲層の高齢化」「若年層のウイスキー離れ」そして「料飲店の業態変化」の3つに集約できる。
 
 特に影響が大きいのは「料飲店の業態変化」だ。バブル経済まではクラブやバー、スナックが主要販路であり、法人需要が大きなウエイトを占めていた。だがバブル経済の崩壊後にこうした業態は急速に淘汰され、それに代わって法人需要から個人需要が中心の居酒屋業態が広がっていく。
 
 2008年当時の居酒屋にはビール・焼酎・チューハイは品揃えされていても、ウイスキーはメニューになかった。居酒屋でウイスキーを飲むための「飲み方や場面」がなく、ウイスキーを扱っていない居酒屋は2009年末当時で6万店、近年では18万店に上っていた。新しい顧客が開拓できない上に、外食時に飲む「飲み方と場所」がなくなっていれば市場が衰退するのは同然の成り行きだ。
 
●新規顧客層と居酒屋市場に的を絞った施策
 
 ウイスキーは過去には食後酒として飲用されて、その飲み方は水割りだった。だが居酒屋では食中飲料としてビールやチューハイの様に利用されないと注文される機会はない。そこでサントリーはハイボールに着目し、ハイボールを最も美味しく飲む黄金比のつくり方を開発。食中飲料に必要な容量と形状から、黄金比でつくれる専用サーバーの「角ハイボールタワー」と共にジョッキグラスを料飲店に提供していく。
 
 業態開発としては居酒屋に加えて、たこ焼きチェーンの「銀だこ」と組んでハイボール専門店を立ち上げ、立ち飲み店・焼き鳥店・女性向けバル(スペイン風パブ)などにも販路を開拓していく。
 
 コミュニケーションでは「ウイスキーがお好きでしょ」のテーマソングと共に、小雪(現在は井川遙)を起用した広告を投入。さらにネット上では、力のあるブロガーを蒸留所に招待してその体験談をブログ上で紹介されるように取組んだ。
 
 業務用需要の開拓に加えて缶入りの「角ハイボール」と「トリスハイボール」も発売し、主婦層の獲得にも動いている。
 
 こうしてサントリーは2010年に前年比プラス17%を記録し、20年以上にわたる長期低落から脱出し、角瓶のブランド価値も復活させることに成功する。
 
 
<サントリーの「角ハイボール」の事例に学ぶこと>
 強力なブランド価値があり市場が堅調に見えても、社会環境が変わってしまうと、ブランドも市場も急速に衰退することがある。こうした事態は、どの業界にも起こりうる。
 絶えず社会の変化に目を配り、若い世代にもファンをつくるように心掛け、家庭内消費を増やすために外食チャネルでの利用促進を図るという取組みは不可欠だ。
 ブランド価値を高める取組みは日々行われるもので、その取組みに終わりなどない。「角ハイボール」の事例は、それを我々に示唆している。
 
 
 
 
 
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