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人間学・古典

第58講 「帝王学その8」
汝誇らず、天下、汝と能を争うなし。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】

お前が自己の能力を誇らなければ、世間の人々はお前と能力で競争しようとしない。



【解説】
今回は「貞観政要」からです。24年間主宰してきた『人間学読書会』の経験から感想を述べれば、世の中に宝石の原石のような人物は多いのですが、人間修行により原石に磨きをかけて輝くまでに到る人は限られています。この原因は、次の3点です。


一つ目は、本人自身に宝石の原石である自覚が無いことです。
白隠禅師の坐禅和讃(ザゼンワサン)というお経の一節に「長者の家の子となりて、貧里に迷うに異ならず」とあります。「裕福な家の息子がその境遇に気付かずに、貧民街に埋もれて苦労している」という意味ですが、本人が豊かな才能の持ち主であることを自覚しなければどうにもなりません。


二つ目は、仮に自覚しても10年鍛錬の持久力が無いことです。別な表現をすれば、社会貢献の志が弱いために、鍛錬に必要な10年を待たずに志が萎えてしまうことです。
心は壊れやすいものですから、「やるぞ!!」という志も祭りのゴム風船のようにいつしか萎んでしまいます。ですから、毎日「立派な人間になるぞ!」を繰り返し、萎んだ風船に空気を吹き込んでやることが必要になります。
一般的には人々は壊れ易い心の短所を注目し、継続力を失い自信喪失に陥ります。しかし、壊れた心も元を正せば自分が創った心ですから、心は大変創り易い長所を持っていることになります。道元禅師はこの心の創り易さに着目して、次の名言を残しています。
    「一発菩提心を、百千万発も起こすべきなり」
一発菩提心とは、仏道修行に入る当初の決意。つまり"我が身を仏道で鍛え、悩める大衆を救済しようとする心"(衆生済度)のことです。百千万発とは心を燃やし続けることです。


三つ目は、損得に振り回されて、本来の器量が育たないことです。
資本主義社会の発達と共に、社会が損得勘定に振り回され、金銭所得の多寡が人物の評価基準とされ、本来の自己鍛錬よりも目先の損得を優先してしまう傾向があります。
仮に天地自然から与えられた本来の人間の総合才能の領域を360度分とし、損得領域の才能を90度分とすると、残りの損得以外の才能の領域は270度分になります。この未開領域に挑戦しない限り、天与の総合才能は育たず大きな人物も生まれないことになります。


最近、学校周辺のゴミ拾い修行に挑戦しています。吸殻・ガム・ボトル・インスタントの容器・汚れたパンツまで、毎日40分間:150個ほどのゴミになります。
当初は我慢して拾うから修行なのだと思っていましたが、最近では学生の参加もあり、お手本となる拾い方を示す都合から、可能な限りニコニコして喜んで拾っています。最近では不思議なことに『損得勘定を越えた脱益の益』が出現し、毎朝のゴミ拾いが極めて楽しくなり、趣味のゴルフやスキー並みの感覚になってきています。
          「毎朝40分間のゴミ拾い、拾っても拾っても無尽蔵。
     損得の算も叶わぬ領域、算抜けた処に脱益の益あり」

 

杉山巌海

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