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人間学・古典

第45講 「言志四録その45」
昨日を送りて今日を迎え、今日を送りて明日を迎う。人生百年かくのごとし。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
昨日を過ごして今日を迎え、今日を過ごして明日を迎える。百年の人生はこのよ うなものである。


【解説】
我々人間の肉体は、長くても人生百年・三万六千五百日の時間の中にあります。
誰もがこの膨大な日々を、流れ去る昨日と訪れ来る明日に挟まれて、今日一日を生きています。

流れ去る昨日を一瞬たりとも留め置くことはできず、流れ来る明日を早めることもできません。
今日の瞬間に身を託し一日を精一杯に生き、その連続が我々の人生を形作ります。


一方、人間の心は肉体とは別物です。
過ぎ去った日々に喜びや悔いを残し、未だ訪れない日々に希望や不安を抱きます。
喜びや希望で明るく生きるか、悔いや不安で暗く生きるかは、
本人の心の置き処次第となりますから、ここに人間学に取り組む意味があります。


【人間万事・塞翁が馬】
中国の北方の国境付近に老人・塞翁が住んでいた。
彼の評判の駿馬が、ある日突然いなくなった。
人々の慰めをよそに翁は「いやいや、案外幸せを運んでくるかもしれんぞ」と応える。

しばらくして逃げた馬が別の仲間を連れて戻ってきた。人々が祝いに行くと翁は「いやいや、不幸の前兆かも知れん」と・・。
やがて翁の息子が落馬し骨折した。しかし今度も翁は不幸が幸福を呼ぶかもと平然。
骨折した息子は、間もなく起こった戦争に駆り出されることもなく命を落とすことも なかった。


これは淮南子の「塞翁が馬」の話です。
禍福は人間の力が及ぶものではありません。
そうかといって禍福を単純に受け入れ喜怒哀楽だけで対応するのでは、万物の霊長たる人間一匹としては情けないものです。
「身は牢獄にあっても、心まで牢番に預けるのではない」(俗諺)といいますが、
塞翁のように禍福に対してしたたかな心を持ちたいものです。


曹洞宗の修証儀に「人身得ること難し、・・最勝の善身を・・無常の風に任すこと勿れ」とあります。
この意味は、人間に生まれることは非常に稀なこと・・、 生き物の中で最も優れた人間の身命を授かった・・、
無常(余命日数の消滅)の風に晒すな・・ということです。

無常の風に晒さない工夫の一つとして、大原学園では学生手帳に『今・逆算法』を載せて徹底しています。
試験日や卒業式から逆算した「後何日の今日」を自覚 し、日々の行動予定や心の置きどころを学生手帳に記入し、
自己管理されたレベルの高い学生生活を過ごしています。


次の句は人間学読書会の老会員のものです。
「逆算の今日を生きれば、緩みなし。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」(人間学読書会)
 

 
 
杉山巌海

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