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人間学・古典

第19講 「言志四録その19」
暁に早起を要し、夜に熟睡を要す。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
朝は夜明け前に起き、夜は熟睡が大切です。


【解説】
我々人間を自然界の一微粒子として考えるとき、自然界を大宇宙 (Makrokosmos)といい、
人間を小宇宙(Mikrokosmos)といいます。

小宇宙である我々人間の機能を最高に発揮するためには、大宇宙の 法則に適合した生活が大切になります。
陽が昇り、陽が沈むことは、地球誕生以来の46億年のリズムです。
ほんの100年ほど前までは、陽が昇り沈むまでの 時間が人間の標準活動時間でしたから、
このリズムは我々の肉体の中に刻まれています。
夜遅く寝て朝遅く起きても睡眠時間の計算は合うのでしょうが、小宇宙のリズムには合いません。

「不夜城」という言葉に代表されるように、自然界のリズムに逆らった生活が世界中に広まっています。
人類は700万年前に誕生し、その後幾多の天変地異に襲われながらも何回かの種族の
消滅危機を克服し、やっと1万年前に農耕技術を手に して定住生活に入りました。
定住は経験知識の蓄積を可能にしますから、人類は目覚しい発展を遂げました。
特に100余年前に電灯という人工太陽を手に入れ たことにより、昼12時間・夜12時間
という太古からの生活リズムを、睡眠不足型の生活に変え始めました。
睡眠不足が進行すれば、活力回復がされない状態での翌日の活動となりますから、当然様々な病的症状が出てきます。
 

実は蝋燭生活の江戸時代の人々も、様々なストレスによる病に見舞われたようです。
  「駿河には過ぎたるものが二つある。富士の高嶺に原の白隠」
と謡われた江戸中期の名僧白隠禅師に「夜船閑話(やせんかんな)」と「遠羅天釜(おらてが ま)」という療養書があります。
これらの中に「軟蘇の秘法」と「内観の秘法」という自然治癒力を応用した病気療法の記載があります。
簡単に紹介しますか ら、自分流に工夫してください。


●「軟蘇の秘法」:
まずゆったりとした気持ちで坐禅や仰向けの姿勢をとります。
次に坐禅の場合には頭の天辺に、仰向けの場合には額に「軟蘇」を乗せます。
軟蘇についての具体的な説明はありませんが、「世界で一番効用のある軟膏」と考えればよいでしょう。
この軟蘇が体温により溶け出して、頭髪から足の爪先までじわじわと染み渡る様を想像します。  

ポイントは1センチ単位で徐々に染み渡っていく感じです。
と同時に染み渡った箇所 はどんどん病気が回復していると強く意識します。
これを就寝前に10~20回ほど繰り返します。
病気回復には体と心の両面がありますから、身体面は医者や 薬に任せるものの、
精神面では強い暗示を掛けて『自己の自然治癒力』を高めようとする方法です。


●「内観の秘法」:
一種の就寝法です。寝床に仰向けになり「今宵限りで娑婆世界とオサラバだ!」と思います。
すると「喜怒哀楽の日々だったけれど、今宵が最後の夜。感謝!感謝!」
というような素直な気持ちになり、不思議とスムーズな眠りにつきます。
翌朝再び眼が覚めた時に、「天地自然の神様は、今日もまた私に命を与えてくれた!」と喜びを感じます。

内観とは自分の心を覗き込むことです。
静かに自分の心を覗いてみますと、周りに振 り回された自己の心の状態に気付き、
「本来の我が心」が回復しますから、意外とスムーズな眠りに繋がります。
私は眠りにくい時には、次のような句を 10~20回ほど唱えています。

  「お前さん、心置きなく 眠りなよ! 目覚めなければ、黄泉(冥土)の道」(巌 海)

 

杉山巌海

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