menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

サービス

30軒目 「お客様が”謝ってしまう”というのが到達点の店理店」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

お客様が“謝ってしまう”というのが到達点の店
 
shikumi30_01.jpg

福岡市の博多エリアに知る人ぞ知る創作居酒屋がある。それが「地球屋」だ。
 
 地球屋の植松伸吉社長は「王将」という店を30年前に開業した。しかし、思ったようにいかなったそうだ。
 
 売上が悪い理由を考えると客層にあるのではないかと考え、当時の呑み屋の定番である焼き鳥とカラオケを辞めた。
 
shikumi30_02.jpg
 
しかし、実際これらを辞めてしまうと売り物が無い状態になったそうだ。
 
 そして、いろいろ考えた結果、全国の地ウイスキーに行き着いた。
 
 料理も、「茶碗蒸しの出しに牛乳を入れればプリンになる」のような発想から和食と洋食のクロスオーバーをさせた。例えば玉子焼きにホワイト ソースをかけたり、ほうれん草を生で提供してベーコンの代わりにポテトチップスをのせたりした。また、在日朝鮮人の友人からキムチチゲを教えてもらい提供 もした。
 
shikumi30_03.jpg
 
すると、当時としては珍しい創作料理店として大ブレークした。それから、地球屋は絶好調で、拡大路線を進んでいた。
 10年前、知人の紹介でランチェスター経営の竹田陽一氏と知り合った。竹田氏は、「あなたは将来どうしたいのかね」と聞いたそうだ。それに対 して、「店を増やして、自社ビルを建てて、上には従業員の寮を作って・・」のような夢を語った。
 
 竹田氏はすかさず、「そりゃあんた潰れんね」と言ったそうだ。
 
 初対面の竹田氏にそんなことをいきなり言われて面食らった植松さんではあるが、「そのおかげで経営に目覚めた」と言う。
 
 地球屋には「無、礼、謝、感」という独特な言葉がある。
 
 これはお客様の反応を表した言葉なのだが、そこにこそ、経営の真髄がある。
 
 無というのはお客様が会計時に無言で帰ることで、これは店としては0点=失格の状態だ。こんな店には明日はない。
 
 
 次が、「ありがとう」「おいしかった」とお礼を言って帰る状況。しかし、これもサービス業であればあたりまえ。こんな状態なら、市場が成熟す ればやって当たり前の話だ。
 

 「悪いね・・忙しいときに」「悪いに無理に席を作ってくれて・・」お客様はときとして、「ごめんね・・」「悪いね・・」という接頭語を使う。 それこそ、お客様に個別なタイムリーなサービスができたという証拠である。そして、サービス業であるならば、これこそ目指すところだ。地球屋はお客様が謝 るということを到達点にしている。
 
 そんな状態になれば、お客様は感動して、謝礼を持ってくる。
 
shikumi30_04.jpg
 
手土産、チップそんなものをもらう店はどれくらいあるだとうか?もちろん、謝るお客様はまた誰かをつれてくる。
 
新規客がいくらでも見込めた成長の時代、我々は顧客満足度ということを追及した。
 
 しかし、実は必要なものをそろえただけで、それ以上のことをしていない店が多くなってしまったのではないだろうか。景気後退で不振な店が多い ことがこのことを物語る。
 
shikumi30_05.jpg
 
地球屋にいくと、そんな大切さを実感させられるのである。

 

29軒目 「不況になったら開眼した アジア料理店」前のページ

31軒目 「その土地に合わせたコンセプトで繁盛」次のページ

関連記事

  1. 58軒目 「見えないところに労を惜しまぬ店」

  2. 53軒目 「外食産業と流通のハイブリッドの手本」

  3. 8軒目 「ユーモアのある最高級焼肉屋」

最新の経営コラム

  1. 第347回【勝ち組企業づくり編⑩】「強く必要とされる会社」となる

  2. 第102回 インボイスの管理を定期的に点検する

  3. 第161回 ディープフェイク

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 人事・労務

    第44話 本格的な変化の時代 将来に備えた基礎固めを(1)
  2. マネジメント

    第319回 身の丈にあった経営
  3. マネジメント

    日本型組織の弱点(5) ウチ・ソト社会
  4. キーワード

    第21回 「≪平成サラリーマン残酷時代≫到来!」 ~新生銀行「サラリーマンの...
  5. 経済・株式・資産

    第14話 債務過大・延滞で競売の危機!誰かに投資してもらい事業を継続したいと思っ...
keyboard_arrow_up