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第100回 乳頭温泉郷(秋田県) 一度は訪れたい日本を代表する秘湯

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■江戸時代にタイムスリップ

 おかげさまで、この連載も100回目を迎えた。区切りとなる数字を前に、過去の連載を見返していたら、日本を代表する温泉地を取り上げていないことに気づいた。記念すべき100回目は、秋田県の乳頭温泉郷を紹介したい。


 乳頭温泉郷は、全国的にも知られる「秘湯」で、個性あふれる温泉宿が点在する。学校の校舎を移築した建物がユニークな「大釜温泉」のほか、湯治場の雰囲気を色濃く残す「黒湯温泉」と「孫六温泉」、滝を見ながら赤茶色の湯に浸かれる露天風呂が自慢の「妙乃湯」など、どの宿も一度は泊まってみたいと思わせる魅力がある。


 なかでも一番人気なのが、ミルクのような白濁色の源泉をもつ「鶴の湯」。「秘湯といえば鶴の湯、鶴の湯といえば秘湯」といわれるほど有名な秘湯の宿だ。だから、辺鄙な場所にあるにもかかわらず、予約が困難なくらいの人気を誇る。


 もはや「秘湯」と呼ぶのに違和感を覚えるほどに、休日、平日を問わず、全国から入浴客が訪ねてくるのだが、それでもなお、「秘湯」としての情緒を残しているのはさすが。


 江戸時代から湧く鶴の湯には、秋田藩主が湯治に訪れた際に警護の者が詰めたとされる「本陣」という茅葺き屋根の建物などが残り、鄙びた雰囲気を醸し出している。一歩、敷地内に足を踏み入れると、まるで江戸時代にタイムスリップしてしまったかのような錯覚に陥る。

 

■特徴の異なる4つの源泉

 ちなみに、宿につくまでのアプローチも「秘湯感」を盛り上げるのに一役買っている。「鶴の湯」へ続く一本道は数キロの道のりだが、道路がでこぼこしていたり、最後は石が転がるダートになっていたりと、ちょっとした苦労をさせられる。これは「秘湯感」を盛り上げるために、わざと舗装をしていないのではないかと睨んでいるのだが、考えすぎだろうか。


 肝心の温泉も極上だ。4つの源泉をもつので、微妙に泉質が異なる湯船をはしごするのも楽しい。いずれも乳白色の湯だが、肌触りなど入浴感は微妙に異なる。温泉ファンならその違いを体感するのもいい。ただ、鶴の湯の白眉は、30人以上が浸かれそうな混浴の露天風呂だろう。


 ミルク色に白濁した湯の美しさもさることながら、足元湧出泉であるのが心憎い。湯船のいたるところからプクプクと湧き出しているのがわかる。大きな湯船にもかかわらず、かなりの量の湯が湯船からあふれだしているので、湧出量も豊富なのだろう。

 

■月夜が幻想的な露天風呂

 鶴の湯を訪れるなら、ゆっくりと宿泊するのがおすすめ。日帰り入浴でも混浴の露天風呂を楽しめるが、とにかく人が多い。温泉好きだけでなく、普通の観光客もたくさんやってくるので、せっかくの鄙びた温泉情緒の魅力も半減してしまう。


 日帰り入浴時間が終わる15時以降は、鶴の湯本来の静寂を取り戻す。とくに、夜の露天風呂は昼間のにぎやかさが嘘であるかのように、ゆっくりと湯浴みを楽しむことができる。


 ランプの灯りに照らされた露天風呂は幻想的で、湯に包まれながら頭上を見上げれば、満天の星空と明るく輝く満月にうっとり。「月って、こんなに大きくて、明るい光を放っていたんだ……」と感動したのを今も覚えている。


 食事は部屋出し、もしくは囲炉裏端でいただく。山の秘湯らしく山菜や岩魚の塩焼きのほか、名物の山の芋鍋などが膳に並ぶ。味噌仕立て山の芋鍋は素朴ながら滋味豊かな味わいだ。


 乳頭温泉郷を訪れたら麓にある田沢湖まで足を延ばしたい。瑠璃色の湖面が美しい田沢湖は、最大深度423メートルで日本一を誇る。その深さゆえに冬でも湖面が凍結することがないという神秘の湖だ。太陽の光が反射してキラキラと輝く湖面にも心が洗われるが、夕焼けで赤く染まる湖面の美しさは格別。自然がつくりだす芸術に時間を忘れて見とれてしまう。

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