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税務・会計

第30号 社員が社長を理解できない訳

会社を守り抜くための緊急対策

 社長は、会社の存続や社員のためを思い、ときには、法スレスレのことをすることもあります。そして、そのような行動は、日頃、コミュニケーションが取れていると思っている社長は、社員が自分のことを理解してくれると考えています。
 帳簿や決算書などの不正の動機も、会社の存続のため、従業員を守るため、取引先を守るために行うことが多いものです。自らの金銭的な利得、つまり私利私欲より、会社のためが多いのです。
 この場合も、社員のためにしていることなので、社員は理解してくれると心のどこかで思っているものですし、そう思いたいものです。
 しかし、多くの場合、社長の誤解です。そして、内部告発され会社は倒産していきます。

◆なぜ、社員は社長のことを理解しないのでしょうか。
 こういっては夢も希望もないかもしれませんが、もともと社長と社員とは相容れないものなので、社員が社長のことを理解しないのは当然です。
 簡単に言いますと、給料を払う側ともらう側は、根本的には相容れないものです。ですから、社長のことは誰も分かってくれないものなのです。もしこれが事実でしたら、これほど悲しいものはありません。社員は、自分のことを信じてついてきてくれているものと思っているためです。
 しかし、社員が理解していないということは、根本的な問題以外にも、社長の責任でもあります。
 前号でお話したこと以外にも、まだあります。
 社長には、驚くほど、朝から晩まですべきことがあります。だから、常に頭を回転させているものです。時に、自分の回転についてこられない社員をもどかしく思うこともあります。そこから、社長と社員との間に距離が生まれてくるのです。
 何でも自分でできる社長ほど、むしろ社員との距離を作りがちです。
 私は一度、「どうして社員に給料を支払うのだろうか」と、社長としては考えてはならないことが頭によぎったことがあります。
 自分はこんなに苦労しているのに、机で笑っている社員がいる。メールをしているようだが、仕事のメールなのか、わからない。
 パソコンの前に座っていると仕事をしている振りはできるのですが、本当に仕事をしているのだろうか。もしかしたら、サイトを見て楽しんでいるのでは・・・
 もちろん、社長である自分にも給料はありますが、資金が厳しい時は、当然、未払いにします。しかし、彼ら社員の口座には、間違いなく、毎月、給料は振り込まれます。
 こんなことが頭によぎる社長は間違いなく失格でしょう。だから、社長をやめようと決意しました。
 ところが、中小企業のかなしさですが、借入やリース等で個人保証をしているため、次の社長のなり手がいないのです。やめたくても辞められない。中小企業の宿命です。
 社長と社員とでは付き合っている人も違います。
 社長には、会社が危機の時、助けてくれた人には恩義があるものです。だから、助けてくれた会社がピンチであれば助けたいと考えることは至極当然なことです。しかし、社員は意識が違います。そのような社長の心情を察することはありません。
 社員が、この会社と付き合っているのは、彼らはただ、その会社の技術が欲しいだけであり、そこには昔の社長の恩義などは微塵もありません。そんなものです。
 社長の中には、自分の心情をわかってもらいたいがために、つい、社員に話をしたとしても、社員には理解できません。むしろ、社員に話したことによって、ビジネスに支障が出てしまいます。
 一番、社員が困ることは、やはり、現場を知らない社長でしょう。社長は、社内で一番話が見えている人であるべきです。どの事業にどれほどの可能性があるか、どこに課題があるのか、そんな感覚を常に持っていて、誰の話を聞いても、概略が見えていることが重要です。そのためには、現場を知っていないといけません。
 そして社長が、現場に必要な人材イメージを明確にしていないと社員からは理解してもらえないのです。

◆社員にも問題がある
 社長だけに問題があるわけではありません。もちろん、社員にも問題があります。
 会社から給料をもらっている社員の中には、ここで頑張らなければ人生設計が狂うという危機意識がある人もいます。このような人であれば、死に物狂いで社長とともに会社を復活させることもできます。
 しかし、中にはやめる人もいます。すぐやめる若い社員の背後に、優しすぎる親の存在があるようです。子どもに無理はして欲しくないのか、会社を辞めたいと相談すれば、特別、引き止めることはないそうです。
 自分の価値観で納得できないと働かないのです。その価値観とは、生まれて時からお金があり、何でも揃っている。自分の好きなことが結構できる。そんな環境でつくられた価値観です。
 ですから、お金を稼ぐ行為はモチベーションにはなりません。
 たった一度の叱責でいとも簡単にやめてしまうこともあります。我慢はまったく出来ません。しかし、同意が欲しいのか、フェイスブックに書き込み、「いいね!」をもらい、それがますます自信になるのです。
 若い人に、自信たっぷりな人が多いと感じるのは私だけでしょうか。50もかなり過ぎた人間にとって、世の中を知っている人ほど、謙虚になっている気がします。逆に、何も知らない人が、情報だけを入手して、知っているかのごとく振舞います。
 自分の能力への根拠のない自信。ネットからの情報で分かった気になる勘違い社員は、正直、困ったものです。
 「知る」から「わかる」。「わかる」から「できる」を理解しない社員が増えています。
 また、汚いことをしてまでお金を儲けたくない人も増えてきました。豊かになったことで、生活のために働くというより、社会貢献や自己実現ばかりに目を向けていきます。
 また、世の中、段階があるはずですが、一気にいけると思っている人も多すぎます。
 もっとたいへんなのは、すべてに興味がない若者です。出世、給料、車、旅行など、なにも興味を示しません。
 しかし、彼らに対して、ガラスのように扱う必要はありません。そうすればつけあがるだけです。

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第31号 大増税時代突入!中小企業の不正が増加する次のページ

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